「生きているうちにもう一度担ぎたい」 みこし67年ぶり復活 愛宕神社(群馬・伊勢崎市) 住民有志が披露
群馬県伊勢崎市波志江町の愛宕(あたご)神社に祭られているみこしの渡御が3日、住民有志らの手によって67年ぶりに復活した。この日のために担ぎ棒などを新調。住民や愛好家らが地域を練り歩き、郷土の文化と歴史をつないだ。
みこしは江戸時代末期に作られたとみられ、本体部分は1.2メートル四方。長らく境内に保管されてきたが、激しい動きに担ぎ棒が耐えられない危険性があるため、展示されるだけにとどまっていた。
1957(昭和32)年の秋祭りでみこしを担いだ地元の岡田照雄さん(84)が「生きているうちにもう一度、担ぎたい」と一念発起。実行委員会がつくられ、約3年前から準備を進めてきた。地元企業や住民からの寄付、市の補助金などを活用して担げる状態にした。
新たな門出となったこの日、神社に集まったのは約200人。境内を一回りした後、老若男女でにぎわう地域の「ふれあい祭り」の会場に移動。屋台4基と共演し、威勢よいかけ声を響かせた。岡田さんは「涙が止まらない。重たかったが、担ぎ棒を離したくない気持ちの方が強かった」と喜んだ。
宮司の深沢栄心さん(66)は「初めての雄姿に感無量。住民が一つにまとまる行事として定着してもらいたい」と期待。岡田さんの長男で実行委員長を務めた雄太さん(44)は「今の子どもたちの記憶に残ってくれたらうれしい。できる限りみこしを続け、地域を盛り上げていきたい」と前を向いた。