栃木市の太平山の三大名物「卵焼き・焼き鳥・だんご」 どうして茶店の定番メニューになった?

下野新聞
2024年6月10日

栃木県栃木市の太平山の三大名物「卵焼き」「焼き鳥」「だんご」。関東平野の眺望が望める謙信平や太平山神社周辺には茶店が並び、各店で提供している。散策しながら気軽に楽しめる軽食として定着しているが、その由来は何なのだろうか。

太平山周辺の茶店でつくる「太平山飲食店組合」によると、現在茶店は7店ある。生産地にこだわった卵や柔らかい肉質の若鶏、きねでついただんごなど各店がこだわりの味を提供している。

その中で最も古い「山田家」店主の委文博さん(73)を訪ねた。委文さんは江戸時代に創業した山田家の16代目で、同組合の組合長も務めている。

委文さんは「いつごろから三大名物を提供していたか定かではないが、自分が子どものころから当たり前のようにあった」と話す。

言い伝えでは、太平山周辺で飼育されていたニワトリが朝と夜を間違えて鳴き、「火事や災難など不吉なことを招く」と忌み嫌われた。そのニワトリを太平山神社に奉納し、供えられたコメを食べて繁殖した。処理に困った神社で焼き鳥と卵焼きとして参拝者に振る舞われたのが始まりだそう。コメもだんごにして振る舞ったという。

委文さんは「昔、車がない時代には今のあじさい坂の両脇に茶店が並び、参拝客を相手に商売をしていたそうだ。山田家ももともとは坂にあった」と話す。三大名物について「神社で振る舞われていたものが周辺の茶店でも提供するようになり、現在まで続いているのでは」と推察した。

太平山神社の創建は約1200年前。同神社にもいつから名物として定着したのか確たる情報はないようだが、今に伝わる三大名物はかつての参拝者からも愛された味だったのだろう。

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