《食いこ》サイトウコーヒー(茨城・牛久市) ネルドリップ、こくの一杯

茨城新聞
2023年12月10日

黒と赤を基調とした落ち着いた雰囲気のサイトウコーヒー(茨城県牛久市南)店内は、控えめに流れるジャズが心地よい。カウンターでは店主の斎藤孝司さん(50)が、カップに湯を注ぎ、黙々とコーヒーを入れている。

焙煎(ばいせん)工房を併設し、自ら選んだ豆を使い、自ら入れる。仕入れ先は中南米やアフリカ大陸、アジアなど。オリジナルブレンドやカフェインフリーもあり、コーヒー通から近隣の常連など、幅広い客層に支えられてきた。

斎藤さんのこだわりが詰まったコーヒー

 

コーヒーの抽出は紙のフィルターではなく、ネルと呼ばれる布を使う。ネルドリップでじっくり入れた一杯はこくがあって、まろやか。ネルも自家製だ。「目の粗さや厚み、深さなどで違いが出る。豆の種類に合わせて、入れるスピード調節は自分の腕一つ。自由度が高い」と語る。

斎藤さんは牛久市生まれ。小学校の文集で、喫茶店のマスターになるのが夢だと宣言していた。会社勤めを経て、小さなギャラリーを開設。そこで振る舞っていたコーヒーに興味を持ち、県内の店に出向いてノウハウを学んだ。2001年に喫茶店をオープン。04年から自家焙煎を始めた。

牛久沼の河童伝説にちなんだ「カッパフェ」

 

生まれ育った牛久をPRしようと、地元愛たっぷりのメニューもある。牛久沼や小川芋銭など、河童(かっぱ)ゆかりの地にちなんで登場したのが「カッパフェ」。15年からメニューに加えた。ランチライムが終わった午後3時から5時半までのカッパタイム限定で提供される。

小ぶりのパフェは、抹茶アイスの顔にチョコチップのつぶらな瞳、皿に見立てた星形クッキーを頭にのせている。ガラスの器にはコーヒーゼリーやシフォンケーキ、シリアルなどがぎっしり。テーブルに運ばれてきた瞬間、目が合ってしまう。

奇数月は通常の抹茶アイスで、偶数月は季節による特別バージョン。2月はチョコ、4月はサクラ、6月はマンゴーというように、限定のカッパフェが味わえる。

憧れの職業に就いた今、「自分が入れたコーヒーと妻の作るスイーツ。思い描いた店での毎日に感謝している」と斎藤さん。地域に根差した店を目指し、コーヒーへのこだわりはさらに続く。

■お出かけ情報
サイトウコーヒー
▽牛久市南1の3の13
▽営業時間は午前10時~午後6時(ランチタイムは午前11時~午後3時)
▽定休は月曜日
▽(電)029(872)8951

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