生活根差す方言の魅力 作家井上ひさしさん詩人伊藤信吉さんに焦点 原稿や資料200点展示 高崎

上毛新聞
2017年1月16日

山形県出身の作家、井上ひさしさん(1934~2010年)と前橋市出身の詩人、伊藤信吉さん(1906~2002年)に焦点を当てた企画展「方言の豊穣(ほうじょう)、文学の実感―井上ひさし・伊藤信吉の世界」が14日、高崎市保渡田町の県立土屋文明記念文学館で始まった。2人の直筆原稿をはじめとする方言に関連した資料約200点を紹介している。3月20日まで。
戯曲や小説の中に方言を盛り込み、方言自体をテーマにした作品もつづった井上さん。展示された直筆原稿は明治初年の話し言葉の統一を題材にした戯曲「國語元年」(1986年)と、東北の小さな村が独立を宣言する小説「吉里吉里人」(81年)。原稿用紙に丸みを帯びた丁寧な文字で書かれたさまざまな方言が、訪れた人の目を引いている。
伊藤さんについては著作「上州おたくら―私の方言詩集」(92年)などを紹介。桑の実の方言に関する伊藤さんの全国調査で、これまでアイヌ語で「モトペンペ」と表記されてきたものが、今回の企画展に際しての確認により「トペンペ」であることが判明したという。
同館は「方言が生活にとって切っても切れない存在であることを提言し、文学作品の中で訴えた2人。開館20周年の締めくくりの企画展でもあるので、多くの人に来場してほしい」としている。

 

問い合わせは同館(027・373・7721)へ。

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