《箱根駅伝》上武大 総合15位 復路で失速 シードならず

上毛新聞
2017年1月5日

【東京=大橋周平、越谷奈都美】第93回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)最終日は3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの5区間、109.6キロに21チームが参加して復路が行われ、群馬県の上武大は11時間24分45秒の15位で創部初のシード権獲得はならなかった。往路8位と初の1桁順位で好発進したが、復路は5時間45分32秒で17位に下げ、総合では過去最高成績の14位にあと一歩届かなかった。

青学大が11時間4分10秒で3年連続3度目の総合優勝を果たし、2002~05年まで4連覇した駒大以来、史上6校目の総合3連覇を達成。復路も5時間30分25秒で制した。3年続けて往路と復路の両方で優勝するのは戦後初。出雲全日本選抜、全日本と合わせ、史上4校目となる大学駅伝3冠にも輝いた。

東洋大が7分21秒差で昨年に続いて総合2位となり、早大が3位に入った。4位順大、5位神奈川大、6位は中央学院大だった。

《上武大レース経過》 往路8位の上武大はシード圏外の11位を53秒リードしてスタート。6区馬本はシード圏内の10位から38秒遅れの13位で7区橋立につないだ。8区大森には13位のまま中継したものの、10位との差は2分36秒に拡大。14位でたすきを受けた9区佐藤駿は15位でつなぎ、アンカーの10区佐藤史は区間11位の走りで過去最高順位の14位を目指すも、23秒届かなかった。

◎厚い壁越えられず
果敢にシード権獲得へ挑んだ上武大だが、厚い壁にはね返された。主力を往路に固める作戦が成功し、復路は8位でスタート。それでも最後は、シード圏内に滑り込んだ10位の東海大と7分45秒差がついた。近藤重勝監督は「往路の勢いがあったのに、復路は完敗。4年生にシードを取らせたかったが、地力の差が出た」と白旗を揚げた。

全ての中継所でたすきがつながり、過去最高順位の14位までは23秒。監督の交代もあり、予選会の通過さえ危ぶまれたとは思えない躍進とも言えるが、シード校と比べ選手層の差は歴然としていた。前を走る選手が近かった往路とは異なり、単独走となった復路で盛り返すことはできなかった。

それでも、5区で区間2位の活躍 をした森田清貴主将は「上武が往路で勝負できたことは、後輩たちのプラスになる」と確信する。確かに、繰り上げスタート3カ所の最下位だった昨年からの立て直しは見事で、今後の方向性を示した。3区の2年生太田黒卓は「先輩たちか らチーム力の上げ方だったり、個人での努力の仕方を教わった」と語る。

そして何より、もがきながらもシード争いの土俵で戦ったことが収穫だった。8区の2年生大森樹は「この先にいくには努力も、執着心も足りなかった。もっと頑張らないといけない」と厳しさを知り、来年への足掛かりとした。

1区で区間10位だった坂本佳太ら今回の経験者は5人残り、けがで出場を逃した実力者、井上弘也の復帰も望める。6区の馬本匠副主将は、悔しさからいつもより口数の少ない後輩たちを見つめながら言った。「もっと上を目指せるやつらです。シード権、絶対取ってくれると思います」

【上武大個人成績とコメント】
▽6区(20.8キロ)馬本匠(区間16位、全体13位)1時間1分31秒「昨年は申し訳なくて、仲間に合わせる顔がなかった。でも今年は、早くみんなに会いたいと思えた」
▽7区(21.3キロ)橋立旋(区間17位、全体13位)1時間7分20秒「レースが楽しみで、張り切り過ぎてしまった。次は山上りに挑戦して、森田さんのようになりたい」
▽8区(21.4キロ)大森樹(区間15位、全体14位)1時間8分33秒「自分に足りないものをたくさん感じた。1年間努力を続けて、来年はシード権を絶対取る」
▽9区(23.1キロ)佐藤駿也(区間17位、全体15位)1時間15分13秒「初めての大舞台ということで、上がっている自分がいた。単独走になっても、走れるよう鍛える」
▽10区(23.0キロ)佐藤史弥(区間11位、全体15位)1時間12分55秒「来年やその先のチームのためにも、シード権が欲しかった。後輩たちには経験を生かしてほしい」

◎群馬県勢トリオ シードに貢献…中央学院大
中央学院大初となる3年連続のシード権獲得に、群馬県出身3選手が貢献した。6区では桐生相生中出身の樋口陸が区間5位の力走。「みんなの力でシードに入れたのでよかった」とほっとしていた。

2日の往路では3区横川巧(中之条高出身)と4区新井翔理(農大二高出身)の“群馬リレー”が実現。14位でたすきを受けた横川は13位に、新井は11位へと押し上げた。初めて箱根路を駆けた横川は「もう少しいい順位でたすきを渡したかった。でも箱根の難しさが分かったので、来年につなげたい」と意気込んでいた。

チーム目標はあくまでも、強豪に割って入る5位以内。次は最上級生になる新井は「来年はみんなを引っ張って、私生活とか細かい部分から上位との差を埋めていく」と奮起していた。

◎中央中等出身・清水 区間9位 3位守りゴール…早大10区
早大6大会ぶりの表彰台となる3位のゴールテープを、中央中等出身の清水歓太が切った。箱根駅伝初出場で大役を任され「3位と4位は全然違う。順位を守ることができてほっとした」と胸をなで下ろした。

4位順大との差は16秒。区間賞ペースで迫る相手をかわせたのは、順大で同じ2年生の塩尻和也(伊勢崎清明高出身)に対するライバル心から。高校時代は県内トップを争い、大学入学後も意識している。

だが、塩尻は今夏のリオデジャネイロ五輪に出場し、今回の箱根駅伝もエース区間の2区で区間5位と水をあけられた。10区で区間9位の清水は「少しずつでも詰めていく。まずは来年の箱根で区間上位にいきます」と気合を入れ直した。(越谷奈都美)

 

【写真】ゴールへ向かって懸命に走る上武大のアンカー佐藤史=東京・大手町