千葉・高家神社で包丁儀式 茨城の料理人が大役

茨城新聞
2016年10月7日

平安時代から伝わる「包丁儀式」を千葉県南房総市の高家(たかべ)神社へ奉納するため、県内の料理人らでつくる日本料理の流派の会員が研さんを積んでいる。烏帽子(えぼし)、直垂(ひたたれ)をまとい、包丁とまな箸でコイやマダイ、カツオを調理する厳かな儀式。料理の祖神を祭る国内唯一の神社の秋季例大祭で大役を担う四條真流県支部のメンバーは17日の本番に向けて最後の研さんを積んでいる。

包丁儀式は右手に包丁刀、左手にまな箸を持ち、まな板の上に置かれた料理素材には手を触れずに、調理する儀式。約1100年前、光孝天皇の時代に、四條中納言藤原朝臣山蔭(あそんやまかげ)がさまざまな料理をまとめたのが、四條流の元となったという。

高部神社は、景行天皇が安房の浮島の宮に行幸した折、カツオとハマグリをなますにして献上したとされる磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)が主祭神。料理の神を祭ることから、毎年5月17日、10月17日(旧神嘗(かんなめ)祭)、11月23日(旧新嘗(にいなめ)祭)には神社境内で包丁儀式を奉納。四條流の一門などが担当してきた。

四條真流が同神社で包丁儀式を奉納し始めたのは三十数年前からで、県支部が担当するのは今回が初めてになるという。

晴れの儀式に向けて、今年2月から毎週1回、那珂市菅谷の会員経営の料亭で修練を積み重ねてきた。本番まで残りわずかとなった5日夜には、儀式を奉納する師範たちが、神職風の装束を着用して、全体の流れを稽古した。同流派としては初めて、女性師範2人も包丁儀式にみこ風の装束で参加した。

四條真流5代目家元の菅野憲弘さんが見守る中、まな板開きや清めの儀式などを行い、「宝船(ほうせん)の鯛」の奉納への一連の流れを行い、最終確認をした。

奉納でタイをさばく刀主(とうす)役を務める支部長の藤原憲昭さんは「茨城支部が初めて奉納包丁儀式を担当することから、修練を積み重ねてきた。若手への技能の伝承もできた。自分個人としても集大成としたい」と話していた。

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