焼き芋おいしさ数値化 JAなめがた戦略奏功

茨城新聞
2016年9月21日

JAなめがた(行方市、棚谷保男組合長)は、焼き芋の「おいしさ」を数値化することで、原料のサツマイモの売り上げを伸ばしている。小売店での焼き方は、品種や規格ごとに分けてマニュアル化。取り組みが認められ、今年の茨城農業改革推進大賞の最優秀賞を受賞した。同JA担当者は「味の『見える化』が奏功。一層の消費拡大につなげたい」と話す。

本県のサツマイモ生産量は全国2位。中でも同JAが管轄する行方、潮来両市は一大産地だ。消費が低迷する中、同JAは2005年、「焼き芋戦略」を始めた。きっかけは食品スーパーの販売提案だった。順調に始まったが、2年目に激減。スーパー側からは「味にばらつきがある」と指摘された。

県などと協力して分析。食味のばらつきは、生芋のデンプン含量で左右された。含量はおおむね畑ごとに差が出るため、200以上の畑を区分けした上、それぞれ最適な時期に出荷した。

同時に、同JAが作る「紅優甘(べにゆうか)」「紅こがね」「べにまさり」の3品種について、(1)食感(2)肉質(3)甘味-の3項目を調べた。例えば、甘味はブドウ糖やショ糖など成分ごとに分析し、同じ甘さでも、強い甘さなのか、しっとりとした甘さなのか、微妙な味わいを数値化。総合評価として、「悪い」から「大変良い」まで5段階に分けた。

販売対策にも力を入れた。集めたデータで焼き芋マニュアルを作成。品種や大きさのほか、出荷時期に合わせた焼き時間を5分刻みで明示し、味を安定させた。

食味のデータや詳細な焼き時間を示したことで、取引先は「おいしさを目で見ることができる」と歓迎する。

焼き芋用を含めた同JAのサツマイモ販売額(昨年)は過去最高の35億円。5年前の22億円から13億円増えた。昨年はJA全農いばらきの協力で、マレーシアに20トン輸出。今年12月にも輸出を予定している。

今後は葉物など他の農産物についても、数値化して提案することで、取引先を広げたい考え。棚谷組合長は「関係機関と連携しながら、産地の発展に努めたい」と意欲を語った。    

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