キャンパーに愛され50年 茨城・常陸太田の里美野外活動センター 建築家ギャラリー開放

茨城新聞
2022年6月26日

茨城県常陸太田市里川町のアウトドア体験施設「リリーアカデミーキャンプセンター(県立里美野外活動センター)」は今年、設立50周年を迎える。チェコ出身の建築家で、日本近代建築の父と呼ばれるアントニン・レーモンド氏(1888~1976年)ゆかりの施設で、長く多くのキャンパーから愛されている。50周年記念として5月下旬から本館内のレーモンドギャラリーの開放を始めた。

レーモンド氏は、米国の建築家、フランク・ロイド・ライトの助手として旧帝国ホテル建設のために来日。戦前戦後を合わせて44年間を日本で過ごし、小林聖心女子学院(兵庫県)や東京女子大学礼拝堂(東京都)、冨士カントリークラブ(静岡県)など数多くの設計を手がけた。

同センターはレーモンド設計事務所が担当し、1972年に竣工(しゅんこう)。標高700メートルを超す山々に囲まれ、広さ約28ヘクタールの敷地は東京ドーム約6個分もある巨大キャンプ場。大きな赤い三角屋根が連なる本館や自然の地形を生かしたキャンプ場で、当時の姿を大切に維持しながら運営されている。

レーモンドギャラリーは大型暖炉のある部屋に設営され、同氏の経歴や顔写真、本館のパース、竣工時の建物など貴重な大型写真などを展示している。

本館内のレーモンドギャラリーを紹介する県キャンプ協会の園部高生会長=常陸太田市里川町

 

本館は宿泊室のほか講義室や多目的室、救護室などがある。キャンプサイトは3カ所で、それぞれ100人以上が活動できる。ほぼ手ぶらで来場してキャンプができるのが特徴で、調理場やシャワー、洗面所、トイレなどを備え、炊飯用具や毛布などを貸し出す。

スタッフ全員がキャンプインストラクターの有資格者で、テント設営やロープワーク、火おこし、まき割りなど非日常体験を満喫させてくれる。

指定管理者の県キャンプ協会の園部高生会長は「レーモンド氏が設計に関わった県内でも指折りの施設。多くの県民にこのキャンプ施設を知ってもらい、市内の手つかずの自然を楽しんでほしい」と来場を呼びかける。