《いばらき御朱印めぐり》鉾田・鉾神社 「疫病撤退」願い込め 朱色には魔よけの意も

茨城新聞
2020年10月6日

鉾田市の古くからの市街地に佇(たたず)む鉾神社。同神社の御朱印には昨年末から「疫病撤退」の印が押されるようになった。新型コロナウイルスが日本に流行する以前に「感染しないように」と願いを込め、新たに制作した。

鉾神社の御朱印

同神社の御朱印はシンプル。近年、色彩豊かな御朱印も登場するが、あえて墨汁の「黒色」と「朱色」の2色のみ。魔よけの色ともいわれる朱色。鳥居や巫女(みこ)のはかまの色に使われるのも理由があるという。

全国的な御朱印のブームを受け、同神社では2、3年前から御朱印の頒布を始めた。池田正春宮司は「小さな神社。私がいる時だけ頒布している」と話す。週末を中心に、県内だけでなく近県の福島、栃木、千葉県からの参拝客も目立つ。

創建は1576(天正4)年。かつては鉾田城の守護神だったという同神社。本殿には「大己貴命(おおなむちのみこと)」(別名・大国主命(おおくにぬしのみこと))、鹿島神宮から御霊を移した「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」、「日本武尊(やまとたけるのみこと)」の3大神が祭られている。鳥居をくぐり、正面にあるこぢんまりとした拝殿は、老朽化のため1980(昭和55)年ごろ、再建された。現在、新型コロナウイルス感染防止のため、鈴緒(すずお)は撤去されているが、儀式は普段通り行われている。

拝殿の中は一般公開しないが、特別に入らせてもらうと、幣殿(へいでん)の天井画には「鉾(ほこ)」をくわえた巨大な白蛇が描かれていた。昔、同神社の屋根に白蛇がいたという言い伝えが残っている。同神社を手伝う同市在住の高橋直人さん(66)は「白蛇は宮司が大病をした際、命拾いをしたことから奉納された」と教えてくれた。また、拝殿の入り口左手には、天然記念物のさざれ石が展示され、国歌「君が代」の歌詞に登場する、さざれ石の由来をうかがい知ることができる。

御朱印は「参拝した印。重きは置いていない」としながらも「御朱印がきっかけで参拝くださる人もいる。遠方から来てくれる人に喜んでもらいたい」と、時折、お菓子をプレゼントしている。3年前から御朱印を集めているという、ひたちなか市のパート、飛田尚恵さん(53)は「お菓子のプレゼントは初めて」と、御朱印を受け取り、家族と笑顔を見せていた。

■メモ
アクセス:東関東自動車道鉾田ICを右折して県道110号を進み、飯名の交差点を直進する。住宅街に入る。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の新鉾田駅から車で約5分。
住所:鉾田市鉾田2044
電話:0291(32)3802
受付時間:特に決まっていない。
御朱印:「鉾神社」(300円)。宮司がいる時、授与できる。

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