昭和の暮らし次世代に 潮来・「伝承館」が開館

茨城新聞
2017年4月29日

戦後の生活を後世に伝えようと潮来の有志市民グループが潮来市潮来に29日、「三丁目の蔵『伝承館』」を開館する。蔵として使われた建物を活用し、地元グループ「三丁目蔵部」が整備を進めてきた。代表の篠塚宏八さん(73)が集めた古家具や昔の潮来のまちの映像などを展示。篠塚さんは「われわれが知る戦後の暮らしを若い人に伝えたい。昭和の歴史をきちんと次の世代に引き継ぎたい」と話す。

篠塚さんは1944年、旧波崎町(現神栖市)生まれ。6人兄弟の末っ子だった。「あのころは貧しくてイモばかり食わされ『またイモか』なんて文句を言った」と幼少時代を振り返る。「多分親は子どもたちの食べ残しぐらいしか食べていなかったはず。涙が出る。罰当たりなことをしたと後悔している」と戦後のひもじい生活体験が、同館開館の根っこにあることを認める。

展示は「昭和村」「遊びの学校」「潮来の祭り」の3ブースに分かれ、「昭和村」では、終戦の玉音放送を聞いたという古い木製のラジオを展示し、同放送の音声を流すほか、古家具なども紹介する。

昭和30年代の潮来のまちの映像も流し、土浦から霞ケ浦を船で渡り、潮来を訪れる観光客の様子や、手こぎのろ舟に観光客を乗せる娘船頭、牛を乗せて水路を進むサッパ舟、かつてのあやめ園周辺の様子など見ることができる。

「潮来の祭り」では、延方相撲や大生巫女(みこ)舞神事、上戸獅子舞、潮来祇園祭礼を、古い映像やポスターなどで紹介。「遊びの学校」では、木ごまや逆立ちごま、ベーごま、お手玉などで遊ぶことができる。

市内で同様の施設を開いていた篠塚さんは「日本が戦後どうやって立ち上がったか、学校ではあまり教えていないと思う。日本の近代化が始まった戦後の歴史を、われわれが体験したことなどを通して今の若者に伝承していきたい」と語る。

同館の開館時間は午前10時~午後3時。月曜休館。入場料100円(中学生以下無料)。同館の場所は、東日本銀行潮来支店の裏で、水郷潮来あやめ園近く。

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