県、日本酒ブランド力強化 魅力発信、職人育成も

茨城新聞
2017年4月22日

茨城産の優れた日本酒を県内外にアピールし販売促進につなげようと、茨城県は2017年度、ブランド化事業に乗り出す。全国規模の日本酒イベントを開催するなどして、高品質な県産の魅力を広く発信するほか、蔵元を支える醸造職人の育成に向けたプログラムの強化や認定制度の創設、低アルコールの需要を捉えた新製品の開発にも取り組む。

県によると、県内の蔵元が醸造する日本酒は、全国規模の鑑評会で受賞が相次ぎ、昨年度も金賞の受賞が8件に上るなど実績を重ねている。評価の高まりの一方で、販売数量の増加や販路の開拓につながっていないのが現状で、販売促進などに向けた取り組みが課題となっている。

国税庁の統計によると、本県の販売数量は2012年の1万4533キロリットルから、14年は1万3172キロリットルと3年連続で減少した。酒類の好みの多様化などが影響しているとみられ、減少傾向に歯止めをかけるため、県と県内の蔵元関係者が連携して、魅力発信に本腰を入れる。

本年度の目玉事業である「日本酒で乾杯推進会議茨城大会」は10月21日に水戸市五軒町の水戸芸術館で開く予定。「日本酒で乾杯」をキャッチフレーズに日本文化を発信する啓発イベントの本県開催をきっかけに、本県の魅力を一体的にPRすることによって、知名度向上や新たな販路の開拓につなげるのが狙い。

セミナーや試飲商談会も精力的に開く方針。大消費地向けには、都内を中心に有力な酒類販売店やバイヤー(仕入れ担当者)、レストランなどに売り込み、県内向けについても、地酒の魅力を再認識してもらいながら、それぞれ取り扱い量の拡大を図る。

人材育成に関しては、県内酒蔵の社内杜氏(とうじ)の確保や育成に向けて、県工業技術センター(茨城町)で行っている人材育成プログラムを強化。5月には、より高度な技術を取得できる育成コース「ひたち杜氏コース(仮)」を新設する。

さらに、県酒造組合(広瀬淳一会長)と連携し、より高度な技術を持つ醸造職人の認定制度「本県版日本酒マイスター制度ひたち杜氏(仮)」の創設も検討する方針で、本県の高い技術力のアピールにつなげる。

また、同センター内に酒蔵関係者の有志などで研究会を立ち上げ、需要が伸びている低アルコールの日本酒の開発にも取り組む。

県産業技術課は「本県は関東一の酒蔵数を誇り、高品質な日本酒は地域資源でもある。プロモーションを強化し、酒造産業の活性化につなげたい」と意欲を示している。 

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