「SLもおか」勇姿再び 感染収束の希望託す 下館駅で住民、ファン歓声

茨城新聞
2020年7月19日

下館(筑西市)-茂木(栃木県茂木町)間約42キロを走る真岡鉄道真岡線で18日、蒸気機関車「SLもおか」の営業運転が再開した。SLは新型コロナウイルス感染予防のため、3月から臨時運休していた。大きな汽笛と共にゆっくりと走り出したC12形蒸気機関車の姿に、ファンや沿線住民は感染収束と経済的打撃からの復活への希望を託した。

筑西市乙の下館駅を出発する下り列車は、再開を待ちわびた人々で全席が埋まった。通常の定員は230人だが、3密を避けるため、半分の115人に絞り込んだ。同鉄道の軽部紀明総務部長(61)は「しっかりと除菌対策を取っている。夏休みに多くの子ども連れの家族に乗っていただければ」と強調した。

駅ホームにも、雄姿を見守ろうとファンや沿線住民らが集結。発車時には、SLファン向けのお子様ランチ「子鉄(こ てつ)ランチ」を提供する市内飲食店14店の関係者らが「いってらっしゃい」と手を振って見送った。

真岡線と同じく同駅を起点とする関東鉄道常総線の職員たちも「私たちも応援します。皆さん気を付けて」とアナウンス。発車するSLに向けて手を振った。SLとほぼ同時に同駅を出発した常総線の気動車「キハ5000形」の窓には「SL再開おめでとう」と記された紙が貼られた。

水戸市の平井瑞穂さん(32)は夫(42)と長男(2)の親子3人で初めて乗車。「子どもが電車好きなので、一度SLに乗せてあげたかった。子鉄ランチもぜひ食べたい」と話した。同ランチを提供する沖縄料理店「がなはん」(筑西市丙)従業員の牛久和行さん(53)は「SL再開はうれしい。多くの人に下館の街を歩き、子鉄ランチを食べてほしい」と期待を込めた。

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