擬人化動物の案内で味わう収蔵品100点 唐澤龍彦さんが描くコミックの世界 9月13日まで大川美術館(群馬・桐生市)で企画展

上毛新聞
2026年8月20日

群馬県桐生市在住のアーティスト、唐澤(からさわ)龍彦さんが描くコミックの世界と大川美術館(同市)の収蔵品を融合した企画展「いま、美術館にいるんだけど」が9月13日まで、同館で開かれている。唐澤さんが手がけた擬人化した動物が館内を“案内”し、印刷技術を用いた版画やデジタルプリント、ポスターなど同館のコレクション計約100点を紹介する。

唐澤さんのコミック「ほしのきせき」 は、服を着た画家と称するイヌのような動物が主人公。人工知能(AI)が使われる時代に絵という手で描く表現手段について考えさせられる内容だ。こま割りされた16枚のボードにアクリルで絵が描かれ、展示室の壁面に掲示。部屋を時計回りに移動しながら作品を楽しむ仕掛けになっている。

唐澤さんが描く動物は案内表示でも“活躍”。ユーモラスな姿で来場者を誘導する。

収蔵品の紹介は木版画から始まり、江戸時代の人たちの旅への憧れを映し出した歌川広重の「狂歌入東海道」を展示。大正時代の漫画家が広重に倣って制作した「東海道五十三次漫画絵巻」の肉筆画も並ぶ。

同市で育った画家、山口晃さんの新東都名所シリーズの木版画「東海道中 日本橋 改」と「芝の大塔」は江戸時代と現代など時代を超えた都市の風景を重ね合わせ、見る人の興味を誘う。

銅版画のコーナーではさまざまな技法とともに作品を紹介。描いた絵が版になるリトグラフは、ピカソやシャガールの作品を飾った。鮮やかな色面や均一な画面を生み出しやすいシルクスクリーンは、同市を創作の場としたオノサト・トシノブの幾何学的構成の抽象画を並べた。

コンピューター上で制作し編集した画像を高精細なプリンターで出力するデジタルプリント関連もある。ぐんま未来大短期大学部アート・デザイン学科教授の小松原洋生さんと、同市のアーティスト、根本剛さんの作品を紹介する。

1964年の東京五輪など多彩で膨大なポスターを手がけたグラフィックデザイナー、亀倉雄策さんの仕事にも着目。写真や文字、図形を大胆に組み合わせ、洗練されたデザインのポスターは世代を超えて注目されている。

学芸員の小此木美代子さんは「国内外の時代を超えた版画やグラフィックデザインなどの魅力に触れてほしい」と話す。

午前10時~午後5時。月曜休館。一般1200円など。問い合わせは同館(☎0277-46-3300)へ。