企画展「福沢一郎の旅行カバン」 生命感 海外で捉え描く 足跡たどり、写真も展示 群馬・高崎市美術館

上毛新聞
2025年11月11日

群馬県富岡市出身の画家、福沢一郎(1898~1992年)の「旅」に焦点を当てた企画展「福沢一郎の旅行カバン―画家とゆく世界の旅」が12月21日まで、群馬県高崎市の高崎市美術館で開かれている。ギリシャ、スペイン、オセアニア、中南米などを訪ね、人々の力強い生命感を捉えた65点を紹介し、旅の足跡をたどる。同館で福沢の個展を開催するのは初めて。

福沢にとって旅は制作テーマを探求し、表現の幅を広げる原動力の一つだった。スペインの闘牛場で一喜一憂する群集を個性豊かに描いた大作「陽なたの観衆」(78年)から展示し、時代をさかのぼる形で構成した。

70代で訪れたギリシャ旅行では古代遺跡や神話の世界に思いをはせ、突き抜けるような空の青色を背景に躍動する神々や精霊を軽やかに表現。60代ではオーストラリアの人々や米ニューヨークのハーレムで暮らすアフリカ系住民を描いた。1年以上にわたる50代の中南米取材では、黒色の輪郭線と鮮やかな色彩でステンドグラスを思わせる印象的な連作が生まれ、戦後の大きな転換点となった。

午前10時~午後6時(金曜は同8時)。一般600円など。月曜休館。