世界最大級 ラン開花 筑波実験植物園 茨城

茨城新聞
2025年6月12日

国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県つくば市天久保)は、株や葉などを含めた全体の大きさが世界最大級のラン「グラマトフィルム・パンテリヌム」の開花に成功したと発表した。国内での開花例は数件しか確認されておらず、珍しいという。見頃は6月下旬ごろまで。遊川知久園長は「職員の試行錯誤の結果開花した。ぜひ見に来てほしい」と話している。

 

開花に成功した世界最大級のラン「グラマトフィルム・パンテリヌム」の株=つくば市天久保

 

グラマトフィルム・パンテリヌムは、ボルネオ島やニューギニア島などの熱帯雨林の木に着生するラン科の植物。自生地では、草丈が約3~4メートルまで成長し、黄色に黒い斑点模様の花径約10センチの花が咲く。高い木の枝に生えるため生育環境の再現が困難で、国内での開花は数例しかない。

同植物園は2013年から栽培。職員が生育環境を変えるなど12年間試行錯誤を重ねた。5年前に水生植物温室内で地面から高さ約3メートルの位置に株を設置したところ、生育が良くなり、開花につながったという。

現在は草丈約2メートル30センチ。5本の茎が伸びており、それぞれに約75個の花が付いている。遊川園長は「謎の多い植物。開花で分かる正確な記録は貴重だ」と話した。