《いばらき御朱印めぐり》日立市 神峰神社

■円満御利益、矛が御神体 遷座踏まえた3種類
神峰神社は茨城県日立市宮田町に里宮、同市のシンボル、大煙突近くにある神峰山頂(標高598メートル)に奥宮がある。御朱印は、デザイン性の高い3種類の通常版に加え、限定版も用意。境内には、神社では珍しい獅子像を設置している。
主祭神は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美(いざなみの)命(みこと)、熊野(くまの)櫲樟日(くすひの)命(みこと)の3柱。御利益は円満。御神体は矛で、全国的にも珍しい。古事記の国生み神話の、伊邪那岐命と伊邪那美命が天沼(あめのぬ)矛(ぼこ)を手にしていたことが由来だという。

神峰神社、稲荷神社、奥宮(上右から)、巳年限定(下)の御朱印
創立年代はよく分かっていない。口伝によると、1428年に宮田村(現日立市)の総鎮守として祭られ、神峰山頂のほこらに遷座。山頂へのお参りが大変ということで、1554年に中腹にある鬼ケ洗水という場所に遷座した。
その後、周辺地域で疫病が流行。神社を移した影響ではないかという声が出て、1688年に再び神峰山頂に遷座することになった。あわせて、同年、稲荷の森稲荷神社があった宮田町に、遠くからお参りできる遥拝殿を整備した。1990年に神峰神社を建て直した際、山頂の神を御霊(みたま)分けし、同町でも祭るようになった。これが今の里宮となった。
通常の御朱印は、設立の背景を踏まえ、神峰神社、稲荷神社、奥宮の3種類を用意。神峰神社の御朱印は、御利益である円満を踏まえ、どこまでも円が続くようにと七宝柄を採用。稲荷神社の御朱印は、里宮の境内にあるしだれ桜をモチーフとした。中央には稲荷森大神と墨書きする。

魔よけの効果があるという獅子像
奥宮の御朱印は、昔の表記「神峯山神社」を印として使用。山の文字の上には日の出や矛をイメージしたデザインを施す。いずれの御朱印も約5年前に刷新した。デザインは権禰宜(ごんねぎ)の大都円さん(34)が担当した。
通常の御朱印に加え、えとシリーズの限定御朱印も用意する。今年は巳(み)年。ヘビをモチーフに神峰山頂から昇る朝日をイメージしたデザインになっている。
境内の見どころとして、手水舎(ちょうじゅや)の向かい側に獅子像がある。獅子像は1938年に新潟の方から寄贈された。なぜ寄贈されたかについての記録は残っていない。獅子像はこま犬と同じように魔よけを目的に置かれるが、神社に設置されている例は珍しいという。氏子の中には毎日獅子像の頭をなで、厄よけを祈願する人もいるという。
大都さんは「心のよりどころとなるような、すてきな神社にしていきたい」と話した。
■メモ
アクセス:JR日立駅から約3.5キロ、車で9分
住所:茨城県日立市宮田町5の1の1
(電)0294(21)0609
受付時間:午前10時~午後4時
御朱印:通常御朱印は各500円、特別御朱印は1500円

魔よけの効果があるという獅子像