茨城・桜川で企画展 集落の800年 変遷たどる 辰海道遺跡の出土品紹介

茨城新聞
2024年3月23日

茨城県桜川市長方地区で約800年にわたって続いた大規模な集落跡を紹介する企画展「桜川市内の遺跡Ⅱ 辰海道(たつかいどう)遺跡」が、同市真壁町真壁の真壁伝承館歴史資料館で開かれている。古墳時代や平安時代の出土品を中心に約100点を展示し、当時の暮らしの様子を紹介している。

市教委文化財課によると、同遺跡は弥生時代後期から平安時代までまたがり、住居跡は約550軒が見つかっているほか、掘っ立て柱建物跡や井戸跡、鍛冶工房跡が確認されている。県内では珍しい古墳時代の豪族居館跡があり、地方の有力者が住んでいた可能性が高いという。

奈良・平安時代には、製鉄や紡績、漆工などが盛んになり、展示では製鉄炉に空気を送る羽口や、焼けた金属をつかむための鉄製のはさみなど製鉄関連の道具や、糸つむぎの「紡錘(ぼうすい)車」などを紹介している。中でも鉄製の紡錘車は県内でも出土例が少なく、製鉄に携わる職人集団が紡績の道具を作った可能性も考えられるという。

当時は高級品だった灰釉陶器や緑釉陶器などの陶器の破片も展示した。愛知や静岡など東海地方で作られた物が運ばれてきたとみられる。同遺跡が当時交通の要衝だったことを示す証拠という。

発掘調査は、北関東自動車道の桜川筑西インターチェンジ(IC)整備に伴い、2001~03年に県教育財団が行った。市道の拡張に伴い今年1月から市が主体となり調査を進めている。

今回は財団の調査結果を基に遺跡を紹介している。同課の荒井美香主事(26)は「これだけ長期にわたって続いた遺跡は県内でも珍しい。貴重な遺跡が地元にあることを知ってほしい」と話した。

会期は5月6日まで。3月24日、4月24日、5月5日の午後2時から約30分間、担当者の解説がある。事前予約で先着15人。

申し込みは市のホームページから。問い合わせは同課(電)0296(58)5111。

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