川瀬巴水描いた茨城風景 版画やスケッチ180点超 茨城・稲敷で特別展

茨城新聞
2024年3月27日

大正から昭和初期にかけて活躍し、茨城県内の風景を数多く描いた版画家・川瀬巴水の特別展「川瀬巴水 追憶の情景 巴水が描いた茨城県」が、同県稲敷市八千石の市立歴史民俗資料館で開かれている。版画に加え、貴重な肉筆画やスケッチなど180点以上が並ぶ。同展は4月28日まで。

川瀬は東京都出身。「旅の画人」として全国各地を巡り、自然風景や人々の暮らしを中心に描いた。中でも県内に足しげく通い、稲敷や潮来、行方といった地域のほか、水戸、北茨城、日立、大子など県央・県北地域の作品も数多く残している。

会場には、水辺にたたずむ民家を描いた「浮島戸崎」や「麻生乃夕」、六角堂が描かれた「五浦乃月」、現存数の少ない「水戸薬王院」といった県内の風景を切り取った版画が並んだ。絶筆の「平泉金色堂」のほか、貴重な肉筆画「潮来うき嶋夕月」「涸沼広浦」も間近で見られる。華やかな色使いの作品がある一方、茶褐色の濃淡で表現された味わい深い作品もあり、さまざまな作風に触れることができる。

版元で五霞町出身の渡辺庄三郎とのエピソードや、2人の功績などを紹介するパネルや写真の展示もある。

特別展を企画した同館の森田忠治学芸員は「巴水の作品の中に、古き良き茨城を探してもらいたい」と話している。開館時間は午前9時~午後4時半。月曜、祝日のほか3月28日、4月25日休館。入場無料。問い合わせは同館(電)0299(79)3211。

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