重力使い滝の流れ表現 8日から「千住博特別展」 茨城・筑西の廣澤美術館

茨城新聞
2024年2月7日

日本画家の千住博さん(66)の作品などを集めた「伝統と革新 千住博と黄金の茶道具 特別展」が8日、茨城県筑西市大塚の廣澤美術館で始まる。滝の流れる様子を幻想的に表現した日本画などを展示した。開幕を控えた6日、報道機関向けの内覧会が開かれた。千住さんは、オンラインでインタビューにも応じた。

千住さんの作品は、絵の具を筆でなく重力を使って上から下に流し、水の流れを表現している。会場には、大学院生の時に制作した1987年の作品から、2023年までの日本画や掛け軸17点が並べられた。

最大の見どころは、鮮やかな色調で滝をイメージして描かれた「ウォーターフォール・オン・カラーズ」シリーズの4作品。最も大きいものは22年制作の作品で幅4・86メートル、高さ1・94メートル。緑や青など多彩な色使いについて、千住さんは「滝の内側から外を見た視点で描いた。どんなに暗い世の中でも、多様性と光に満ちていることを表現したかった」と語った。23年制作の緑色を基調とした作品は「(同館の)日本庭園の緑を見て描いた」と説明した。

制作のきっかけはコロナ禍だったという。枯れ枝が花を咲かせるまでの変化を自宅の窓から眺めながら、「鮮やかに世界が色づいていることに感動した。生命の素晴らしさを絵にしたいと思った」と振り返った。

千住さんの作品と共に、筑西市出身で同県笠間市在住の陶芸家、羽石修二さん(61)の陶芸作品11点も展示されている。千住さんは「私の作品との共通項を探してほしい。どちらも作品の中で自然を表現しようとしている」と話した。

会期中、同館に隣接する「つくは野館」では、豊臣秀吉が戦国時代の武将、藤堂高虎に褒美として授けたとの伝承が残る「黄金の茶道具」一式が展示されている。5月12日まで。

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