草津温泉 素泊まり宿人気 観光客 好きな店で食事

上毛新聞
2016年6月11日

ㅤ草津温泉で、夕食がつかずに料金が比較的安い素泊まりの宿が、連泊する人や外国人客を中心に人気を集めている。周辺の飲食店の利用促進につながるほか、旅館側も板前や仲居の人件費などのコストを抑えられるメリットがあり、戦略的に素泊まりを採用する旅館が増えている。

ㅤ湯畑から歩いて2分の素泊まり宿「湯畑の宿 佳乃や」は、四万温泉の旅館経営者らが「羽田館」を改装し、2013年7月にリニューアルオープンした。団体客用の宴会場をなくして部屋数を増やし、外国人客を取り込もうと外国人スタッフをそろえた。宿泊料金は平日ツインで1人6500円だ。
台湾から母と訪れたヨウ・テイテイさん(33)は「湯畑から近くて部屋もきれい。料金もリーズナブルで理想的」と気に入った様子で、埼玉県の会社員、土本洋充さん(42)は「素泊まりの方が外で好きなものを食べられて良い」と宿を選んだ理由を話した。
ㅤ老舗旅館を経営する会社も素泊まり旅館の運営に乗り出した。同年11月に営業を開始した「湯畑草菴」は、創業140年の老舗旅館のグループ会社が運営している。小林恵生(よしのぶ)社長(41)は「草津温泉の年間訪問者280万人のうち宿泊者が180万人。日帰りの100万人が気軽に宿泊できるようアプローチしたい」と話す。
ㅤ湯畑周辺に100軒を超える飲食店があることが、素泊まりスタイルの運営を可能にしている。草津町飲食店組合会長で湯畑近くで中華料理店を経営する湯本保さん(59)は「草津はリピーターが多く、好きな場所で夕飯を食べたいという人が増えている。素泊まりの宿が増えると温泉街に人が出て、にぎやかになるので飲食店としてもありがたい」と歓迎している。