《食いこ》リトルリンダ(茨城・ひたちなか市) 味追求、自家製ハンバーグ

茨城新聞
2022年5月22日

人気メニューの「自家製ハンバーグ」にナイフを入れると、思いのほか手応えがあり力を込めた。ハンバーグステーキレストラン「リトルリンダ」のハンバーグを口に含むとかみ応えがあって「稠密(ちゅうみつ)」という言葉が浮かぶとともに、肉そのもののおいしさが広がる。

ソースはデミグラス、和風おろし、ガーリック、チーズ、チリなど10種類以上から選べる。やわらかさと肉汁たっぷりをうたう、凡百のハンバーグとは一線を画す味わいだ。

250グラムの「デミグラス&チーズソースハンバーグ」

 

同店のオーナーシェフ、伊藤泰史さん(42)手ずからのハンバーグは、常陸牛と茨城県産豚の合いびき肉がメインだ。つなぎのパン粉は都内のパン粉専門メーカーが製品用に焼くパンの「みみ」から作った厳選素材。乾燥パン粉と生パン粉をブレンドして香ばしさを際立たせ、隠し味のキノコ類が味に深みを加える。

ハンバーグ作りについて伊藤さんは「肉質を見極め、融点の異なるラードと牛脂をあんばいしながらタネを作る。手を通じてタネと会話する」と表現する。味を左右する焼き具合も重要で、最高のおいしさを引き出す火加減やひっくり返すタイミングは、5万個になんなんとするハンバーグを焼く中で会得した。

学生時代、飲食店でアルバイトをした伊藤さんは卒業後、バンド活動と並行して牛久や水戸の飲食店で調理の修業を積む。進路に迷う中「ハンバーグはうまいと褒められたのが自信につながり」、意を決して出身地ひたちなか市に店を開いたのが2014年。

以来「勝負して誰にも負けないハンバーグ」を目指してがむしゃらにやってきた。年間6000個のハンバーグを作る中「求められる味を出せるようになり、本当の自信が付いてきたのはここ数年」と振り返る。

今年から焼いたハンバーグを真空パックした「湯煎ハンバーグ」の販売も始めた。今後の展望や夢を尋ねると「信念というほどでもないが、今以上に店を大きくしないこと。広げると味を保てない。地域で求められる味を誠実に、いちずに追求したい」とはにかみを含んだ笑顔で、しかしきっぱりと語った。

■お出かけ情報
リトルリンダ
▽茨城県ひたちなか市田彦1614の4
▽営業時間はランチ午前11時半~午後3時、ディナー午後5時半~9時半
▽定休日は水曜日
▽(電)029(229)1989