星や月、多彩に表現 日本画や隕石並ぶ企画展 30日まで 茨城県五浦美術館

茨城新聞
2026年8月25日

星や月の多彩な表現を紹介する企画展「星に願いを、月に祈りを」が、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。近現代の日本画や洋画、版画作品とともに、本物の隕石(いんせき)や江戸時代の地理学者、長久保赤水の資料など天体にまつわる計39点を展示。幅広いジャンルの作品や資料を通じて、夜空の魅力に迫る。同展は30日まで。

展示品は県近代美術館所蔵の作品が中心。日本美術の中で、月は格好の画題とされ、その伝統は近代の日本画にも引き継がれているという。横山大観の「月満山」(1937年)は胡粉(ごふん)(貝殻が原料の白色顔料)で満月を描いている。墨で夜空を表現し、ぼかしを生かして月の柔らかな光が山や人里を包む様子を卓越した技法で表現している。

五浦は美術思想家、岡倉天心(覚三)などが07年に観月会を開催した場所としても知られる。当時の様子を伝える「いはらき新聞」の紙面や、弟子の1人の菱田春草が描いた「五浦ノ月」(同~08年ごろ)を展示し、五浦と月との関係にも焦点を当てた。

近代以降、西洋絵画の導入で夜の表現が変化し、日本画に登場するようになった星のある風景の作品などを紹介。同県桜川市出身の画家、榎戸庄衛(08~94年)の「月」(51年)は、キュビズム的な構成で窓から月の光が室内に注ぎ、窓際に並んだ土器をシルエットで表した。同県水戸市出身の版画家、栗田政裕氏の「聖アントワーヌの誘惑III」(82年)は、緻密(ちみつ)な小口木版画で夜空に浮かぶ星々を描いている。

このほか、県自然博物館(同県坂東市)蔵の「シホテアリン隕石」を会場に並べた。同県高萩市歴史民俗資料館蔵で国指定重要文化財となっている長久保赤水の「紅毛眼鏡ニテ見ル日月図」(18世紀)も公開。江戸時代に欧州製の望遠鏡で観測した月などの表面図の写しとみられ、赤水の天体への強い関心がうかがえる。

同五浦美術館の塩田釈雄副主任学芸員(36)は「夜空は古くから描かれてきた伝統があり、現代の作家も星や月に引かれ描き続けている。(展示は)それぞれのイメージが個性的に表現されているので、一つ一つの作品を見て楽しんでほしい」と話した。29日には展覧会担当者によるギャラリートークも開かれる。