《食いこ》スズラン珈琲堂(茨城・常総市)

茨城新聞
2026年4月18日

■旧質店で香り高い1杯を

戸を引いて土間に足を踏み入れれば、レトロな電灯の温かく柔らかな光に照らされ、古い家具や家電が立ち並ぶ居間がノスタルジーを誘う。茨城県常総市豊岡町甲のスズラン珈琲堂は1886(明治19)年築の旧質店を活用した古民家カフェ。店主の石川昇太さん(48)は「建物の雰囲気と香り高いコーヒーを楽しめる場所にしたい」と語る。

質店として使われた後、店名の由来である乗合自動車業「スズラン自動車商会」が営業していた木造2階建て。地元出身の石川さんは、長い期間空き家だった建物をずっと気にかけていた。約5年前、家主を探し出して連絡し、取り壊しの手続きを進めていると知った。建物を保存し、多くの人に楽しんでもらえるようにと2024年10月、カフェを開いた。

「飴色オニオンキーマ」と期間限定カレーの合いがけ

店づくりのこだわりは「日本伝統の伝統家屋をそのまま残し、新しいものを入れない」。真空管テレビやオーディオ、年季の入った桐(きり)だんす、食器棚など、昔ながらの暮らしを思わせる調度品の数々が飾られている。明治-昭和期のもので、半分は質店時代から引き継がれ、残りは石川さんが集めた。店に入ってまず目に飛び込むソファは、衣服や寝具を収納するために使われていた木箱「長持」が残されていたのを、リメークした。

自家焙煎(ばいせん)のコーヒーとデザートでくつろぎの時間を提供する。5種類の豆とブレンド1種類を用意し、1杯ずつ丁寧にハンドドリップする。豆の鮮度にこだわり、焙煎から長くても2週間以内に出すようにしているという。

明治時代の旧質店を活用した店舗

デザートのお薦めは奥久慈卵を使用した「スズランプリン」。優しい甘さで滑らかな口当たりのプリンと、ほろ苦いカラメルの組み合わせが絶妙で、深いりのコーヒーによく合う。

地元農家から直接仕入れた作物を中心に旬の野菜を10種類以上トッピングした「野菜ヲ食ス咖哩(カレー)」も人気。タマネギをじっくり炒め、甘みを最大限に引き出した「飴(あめ)色オニオンキーマ」と2カ月前後で入れ替わる期間限定カレーの合いがけがお薦めという。

今後は、縁側から見える庭を手入れしていきたいと考えている。「使うことでアップデートしていきたい。まさに温故知新」とほほ笑む。

お出かけ情報
▽茨城県常総市豊岡町甲16
▽火曜定休
▽午前11時~午後5時(ラストオーダーは同4時半)
▽(電)0297(21)3692
▽インスタグラムのアカウントはsuzuran_coffee