思い出の桜、アートに 伐採の枝と絵使い再現 取手・白山小 東京芸大と共同制作 26日まで 茨城

茨城県取手市立白山小のシンボルツリーだった桜の老木をテーマに、児童たちが思い出を描いた作品が東京芸術大の大学美術館取手館(同市小文間)に展示されている。校舎の改修工事に伴い伐採された桜を懐かしむ空間になっている。展示は26日まで。
市教育委員会によると、桜の木は1953年の開校時からあった。高さ約8メートルもあるソメイヨシノで、入学式には木の下で集合写真を撮ったり花見を楽しんだりした。
老木であったことや校舎の改修工事のため、昨年4月に伐採された。長年子どもたちを見守ってきたシンボルツリーの思い出を形にしようと、市教育委員会が大学に相談。伐採された枝を活用したアートを共同制作することになり、今年1月に全校児童で取り組んだ。
児童らは、桜の枝に水彩絵の具を塗り、縦約140センチ、横約70センチの和紙にスタンプのように押し付けて在りし日の桜を表現した。和紙は県指定無形文化財で同県常陸大宮市の「西の内紙」が使われた。
同大講師の薗部秀徳さんが作品の仕上げを担当し、切り株の上に約80枚の絵をつるして桜の大木に見立てた。薗部さんは「単なる桜を使った記念品ではなく、みんなで共有できて楽しいものを作りたかった。白山小に関わった人たちが桜の思い出を振り返ったり、伐採への感情を持ったりして、いろんな見方をしてもらえればいい」と話した。
会場では、同大の学生や教員が大学構内や市内の伐採木を素材に制作した作品約20点も26日まで、展示されている。開館時間は午前10時~午後5時。入場無料。