廃線54年、茨鉄線の歴史振り返る 郷土史家・中三川さん 30日まで 城里で写真展 茨城

茨城新聞
2025年10月20日

茨城県水戸市赤塚と同県城里町御前山の間を走り、1971年に廃線となった茨城鉄道(茨鉄線)の歴史を振り返る「思い出の茨城鉄道今昔写真展」が30日まで、同町石塚の町役場で開かれている。同町石塚の郷土史家、中三川武夫さん(80)が手がけた。全線廃線から54年となる今、人々の生活を支え地域で慕われつつ姿を消した鉄路を後世に伝えている。

茨鉄線は赤塚-石塚間で26年に開業。27年に石塚-阿波山、阿波山-御前山が開業した。沿線の通勤、通学客に加え、観光客にも利用された。自動車の普及により利用客が減少し、66年に石塚-御前山、68年に石塚-大学前が廃止。71年に歴史を閉じた。

中三川さんは8年前に約130人に聞き取り調査し、茨鉄線関係の情報を収集。写真や資料も集めたほか、駅や線路があった場所の確認に取り組んだ。

会場には全16駅を紹介するパネルが並ぶ。水戸市立博物館や住民らの協力により集めた写真や航空写真に、現在の写真を組み合わせて駅ごとに展示。線路やホームがあった場所を書き込み分かりやすく表示した。路線図や構内図、年表なども掲示している。

中三川さんは「来場した人々は写真を見て当時のことを振り返り、思い出を語ってくれる」とうれしそうに話し、「(廃線から)54年たっている。若い人たちが車で毎日走っているところが線路だったと知る機会になれば」と期待した。

午前9時~午後5時。土日、祝日休館。入場無料。