黒沢止幾の功績伝える 日本初の女性教師 茨城・城里で資料展 28日まで

茨城郡高野村(現茨城県城里町錫高野)に生まれ、日本初の女性教師となった黒沢止幾の足跡を振り返る「〝黒沢止幾子〟資料展」が18日から、城里町役場で開かれる。写真や各種資料の写し、書籍などを並べ偉人が残した功績などを伝える。同展は28日まで。
黒沢止幾子研究会が止幾について多くの人々に知ってもらおうと企画。展示物の監修は研究を約30年続けてきた同町春園の後藤則男さん(77)が担当した。
止幾は夫と死別後、行商をしながら俳句や和歌を習うだけでなく知識を身に付け、実家の寺子屋を継いだ。江戸後期の幕府による弾圧「安政の大獄」で謹慎を命じられた前水戸藩主・徳川斉昭の無実を朝廷に直訴しようと、1859年に京都に向かい捕らえられた。故郷に戻ると自宅の私塾で教え始め、68歳の時に私塾を小学校として最初の女性教師となった。
展示資料はコンパクトな解説パネルや書物など計約50点。後藤さんが県立歴史館などで調べてまとめた写真集から、学制施行に伴い73年に教員を任命された時の依頼書や、生家内部の様子などを拡大して掲示した。生家のそばに立つ高さ約4メートルの贈従五位30周年記念碑の拓本、家系図や年表も並べた。生家の模型、町民が作成した止幾の生家の切り絵、止幾を紹介する書物や生誕200周年時の記念誌などもそろえた。
同研究会事務局長の船橋修治さん(71)は「こんな偉人が城里にいたということを、一人でも多くの人に知ってほしい」と期待。後藤さんは「命を懸けて京都まで行こうとする心が素晴らしい。肌じゅばんに墨で書いた漢詩などを見てほしい」と話した。
午前9時から午後5時まで。土・日曜日は休み。