波山の技伝える60点 筑西で企画展 初出品の花瓶も 茨城

陶芸家で初めて文化勲章を受章した茨城県筑西市出身の板谷波山(1872~1963年)を紹介する企画展「波山のふるさとで珠玉の作品に出会う 板谷波山展」が、同市大塚の廣澤美術館で開かれている。草花を主題とした、繊細な文様の花瓶や香炉など約60点がそろい、近代陶芸を芸術の域に昇華させた「陶聖」の巧みな技が堪能できる。同展は8月31日まで。
2022年に波山の生誕150年記念展が同館で開かれた。今回は当時の約50点を上回る規模となった。10日に報道機関向けの内覧会が開かれ、福嶋達也副館長(38)は「作品を通じて波山の魅力を感じ取ってもらいたい」と話した。
初出品の「彩磁草花文花瓶」は、かれんな草花の文様を浮き彫りにした「薄肉彫り」が目を引く。顔料で色付けしてから透明釉(ゆう)をかけた仕上がりで、左右対称の構図にはアールデコ様式の影響がみられる。
一輪のアジサイを大胆に配したデザインの「彩磁紫陽花水指」も初出品。フキの葉の文様が全体を囲む「彩磁蕗葉文大花瓶」は高さ77.5センチで、波山の作品では最大級となる。このほか同館が誇る香炉のコレクションや波山が故郷の戦没者遺族に贈った観音像、高齢者に贈った鳩杖(はとづえ)などがある。
月曜休館(ただし祝日は開館、翌火曜休館)。問い合わせは同館(電)0296(45)6228。