アルゲリッチ氏ら招聘 水戸芸術館 25年度、演劇「深作組」と連携 茨城

茨城県水戸市五軒町の水戸芸術館を運営する水戸市芸術振興財団は、本年度の事業計画を発表した。音楽部門は「現代ピアノの巨匠たち」と銘打ち、マルタ・アルゲリッチ氏ら世界的奏者4人を招き、水戸室内管弦楽団(MCO)との共演やリサイタルを開く。片山杜秀館長は「ピアノ公演はクラシック音楽の華の一つ。世界的に活躍する奏者が水戸に集うことを誇りに思う」と、それぞれの名演に期待を寄せた。
招聘(しょうへい)されるピアノの巨匠はアルゲリッチ氏のほか、ルドルフ・ブッフビンダー氏、内田光子氏、クリスチャン・ツィメルマン氏の4人。いずれも指揮者で前館長の小澤征爾氏との深い交流により実現した。
アルゲリッチ氏は第115回定演(5月16、17日)で、ブッフビンダー氏は第116回定演(11月1、2日)で演奏。ブッフビンダー氏はMCOとは初共演となる。内田氏は10月25日に、ツィメルマン氏は12月14日にリサイタルを開く。
演劇部門は演出家の深作健太氏が率いる演劇ユニット「深作組」との連携事業を展開。同館と関わりが深い深作氏がギリシャ悲劇を現代によみがえらせた作品「フェードラ-炎の中で」を日本初上演する。出演は、元民放アナウンサーの堀井美香氏、声優の市川蒼氏ら。
美術部門は四つの大型企画展を開催。「磯崎新展」(11月1日~2026年1月25日)では、22年末に逝去した世界的建築家の磯崎新氏の功績を回顧する。代表作の同館を会場に作品模型や絵画、映像などさまざまなメディアを通じ、60年以上にわたる活動の軌跡を建築の枠を超えた総合的な視点でたどる。
片山館長は「計画を練った各部門の努力を誇りに思う。時代の状況に対して感度を上げ、運営に努めていきたい」と力を込めた。