芋銭と広原、2画家紹介 北茨城ゆかり、特別展 市歴史民俗資料館 冊子や油彩、掛け軸も
茨城県北茨城市と縁のある画家2人の作品が並ぶ特別展「茨城ゆかりの画家~日本画家小川芋銭と洋画家広原長七郎の作品を中心に~」が、同市磯原町磯原の市歴史民俗資料館で開かれている。同市出身の童謡詩人・野口雨情(1882~1945年)と小川芋銭(1868~1938年)の交流を示す冊子や、県北の産業の歴史が垣間見られる広原長七郎(1910~79年)の油彩画など19点が並ぶ。同展は12月8日まで。
芋銭は牛久藩士の子として江戸で生まれ、3歳で牛久に移り住んだ。一度上京したが農業を継ぐため帰郷、妻の支えで新聞や雑誌に挿絵を描いた。旅先の自然や郷里である牛久周辺の水郷風景を題材にした、温かみのある作品を数多く制作。カッパの画家として知られる。
雨情と芋銭の2人は、雨情が18歳か19歳の頃に水戸で出会い、その後も交流を続けた。展示では雨情が芋銭に装丁を頼んだ24年発行の「雨情民謡百篇」を解説文と一緒に並べた。表紙には古代の鏡を背景として、子どもと鳴いている鶏が描かれている。このほか、平潟港や大津町五浦の松といった芋銭の描いた新聞の挿絵を紹介したり、掛け軸などを展示している。
広原は、終戦間際に当時住んでいた東京から現在の同県日立市十王町に疎開後、同地にとどまり県北部の自然や人々の営みを題材にした作品を描いている。同県高萩市の名物だった馬市を描いた代表作「馬市(A)」などを展示。北茨城市の重内炭鉱のスケッチ画なども公開している。
同館の沼田華苗さん(41)は「2人の作品には重みや放ち出すオーラがある。ぜひ本物を見てほしい」と話した。
11月13日には学芸員による展示説明も行われる。午前9時~午後4時半(入館同4時まで)、月曜休館。入館料は一般320円、学生100円、市外65歳以上200円。市内65歳以上と中学生以下などは無料。