かつて那須塩原→大田原→那珂川をつないでいた生活の足　線路跡を巡るバスツアーが6月2日に

栃木県大田原市の大田原市観光協会は６月２日、かつての東野鉄道線路跡を巡る日帰りバスツアーを行う。西那須野（那須塩原市）から大田原、黒羽を経由して小川（那珂川町）まで通じ、一時代を築いた約24キロの鉄路。線路跡などに触れ、今の姿と重ね合わせるとともに、往時の人の営みを知ってもらう企画だ。

ツアーは松尾芭蕉が黒羽に逗留した時期に合わせた市制70周年記念芭蕉ウィークの催し。

市資料によると、東野鉄道は現ＪＲ東北本線の整備に伴い1918年に開業し、その後小川までが開通。木材、米麦などを運び、生活の足としても重宝された。68年まで運行された。

国道294号の箒川に架かる現在の橋りょう。手前の川の中に残るのは東野鉄道鉄橋の橋脚の一部

ツアーで解説を担当する市那須与一伝承館の重藤智彬学芸員によると、ツアーでは乃木神社前停留所、大田原停車場、小高い山にある大田原神社の下を通る大田原隧道（トンネル）、黒羽停車場などの跡を見る。白旗城址前停留所跡付近で、芭蕉が宿泊した鹿子畑翠桃邸跡も巡る。

黒羽から小川への線路跡は、那珂川と並行に走る約11キロのほぼ直線。田園の中にあり、狭原停留所跡には、2020年に開通した県内初の環状交差点（ラウンドアバウト）が位置している。

1935年ごろ箒川に架かっていた東野鉄道の鉄橋（写真集「東野鉄道の時代」より）

現在の国道294号の箒川に架かる橋のすぐ下流側に、東野鉄道鉄橋の橋脚の土台が残っている。

重藤学芸員は「普段目にしている道が線路だったこと、営みがあったことを、実際に見て感じて知ってもらえれば」と話す。

集合・解散場所は道の駅那須与一の郷と西那須野駅西口。定員20人。参加費2500円。

（問）大田原市観光協会０２８７・５４・１１１０。申し込みは大田原ツーリズム０２８７・４７・６７５９（平日）。