「呑竜仲店」27日にグランドオープン コロナ禍乗り越え レトロな横丁再び明るさを

上毛新聞
2021年11月23日

 昭和の雰囲気を残す群馬県前橋市千代田町の飲食店街「呑竜仲店(呑竜マーケット)」の空き店舗に新規出店が相次ぎ、27日にグランドオープンを迎える。光が差し込むアーケードを設ける通路の改装工事などと並行し、入居店舗を募っていた。新型コロナウイルスの影響で入居時期が予定よりも遅れたが、新たにジンギスカンやそばといった幅広いジャンルの店を擁し、通称「呑竜横丁」が再出発する。

 呑竜仲店は1947年、市内初のマーケットとして誕生した。82年の大火でほぼ全焼したものの、翌年には再建。全盛期は20店の飲食店が並び、レトロなたたずまいと、袖が触れ合うほどの小規模で家庭的な店が人気を集めていた。

 だが、時代の経過とともに徐々に店の灯は消え、改装前に残っていたスナックや居酒屋など7店の中にも高齢やコロナ禍を理由に、閉店した店もあった。昨年、役員を一新した呑竜仲店協同組合(黒岩千春理事長)は、新規出店者を募集。4~6坪の店舗面積やまちなかという立地に魅力を感じ、手を挙げる経営者も現れた。

 17店舗中、14店舗が埋まり、改修工事も終了した。新たにジンギスカン店などの他に、ギョーザ店、焼き鳥店などが入居。各店名を入れた、たる酒を模した看板を裏通り入り口に設けた。通路に並んだちょうちんはライトアップし、常連客だけでなく、一見(いちげん)客も入りやすくした。店同士は出前などで協力する。

 改装後は若者の撮影スポットにもなっている。組合理事の吉田貴行さんは「懐かしい場所でもあり、若い人には新鮮で、『エモい』(感情を揺り動かされる)場所なんだと思う」と話す。

 今後は新型コロナの前まで恒例だった芋煮会、前橋まつりや七夕祭りといった市の行事に合わせたイベント開催も目指す。来年は、ちょうちんに店名を入れたり、さらなるレトロ感を出したりするための第2期工事を予定する。資金はクラウドファンディングで募ることも検討している。