《いばらき御朱印めぐり》雪の結晶ちりばめて 古河・正定寺 所蔵の着物に雪華文様

茨城新聞
2020年8月2日

古河市の街中、大手町に立つ浄土宗正定寺(しょうじょうじ)。同寺が頒布する御朱印「阿弥陀如来」の用紙には、他では見られない特徴がある。さまざまな形をした美しい雪の結晶が印刷されている。

本堂には、土井家代々の位牌所がある=古河市大手町の浄土宗正定寺

 

同寺は1633(寛永10)年、江戸時代初期の大老・土井利勝が開いた。正門をくぐると目の前に見える本堂。“雪の殿さま”として知られる、古河城主11代の土井利位(としつら)が1832(天保3)年に建立した。現代に至るまで、幾たびも改修を重ねているというが、約200年前の柱が今も残っている。この本堂には、市文化財に指定されている、鎌倉時代に造られた本尊「阿弥陀如来」立像が祭られている。

御朱印は一時休止していたが、御朱印ブームや参拝者の声を受け、約5年前に再開した。住職の藤井隆彦さん(75)は「今ほど数は多くないが、父親の代から希望者があれば頒布していた」と振り返る。御朱印は副住職で次男の正彦さん(38)が担当し、1枚ずつ丁寧に手書きする。

古河市内で、御朱印を頒布する寺院はあるものの、雪の結晶を用紙に使っているのは土井家を祭っている同寺が唯一。モチーフは、同寺に所蔵されている着物「雪華文様訪問着」の雪華文様。着物は普段は一般公開は行っていない。「着物にちりばめられる文様は、プリントのほかに刺しゅうも施されている」という。

御朱印には、阿弥陀如来の文字のほかに、寺の院号「寳地院(ほうちいん)」が書かれている。これは利勝公の戒名でもあるという。住職の案内で本堂の裏手を歩いていくと、土井家代々が祭られる「土井家墓所」があった。墓所は東京浅草の誓願寺(せいがんじ)にあったが、関東大震災の東京復興計画で墓所移転を迫られ、1927(昭和2)年に74霊が遺骨として同寺に移された。墓所内には、利勝公の戒名が刻まれた墓石もあった。

住職は「利勝公は、徳川家康の子とも言われており、遺骨は家康が祭られる日光東照宮近くの釈迦堂にも分骨されている。御朱印を通じて、歴史をひもといてもらえたら」と話す。

■メモ
アクセス:首都圏中央連絡自動車道(圏央道)境古河ICを出て、国道354号方面へ向かって進む。三国橋交差点を右折して県道9号に入る。歴史博物館入り口の信号を過ぎて左折。JR古河駅から徒歩約5分。
住所:古河市大手町7の1
電話:0280(22)1273
受付時間:特に決まっていない。
御朱印:「阿弥陀如来」(300円)。副住職がいる時だけ授与できる。ほかに同寺内の「弁財天堂」には古河七福神の「弁財天」のスタンプもある(無料)。

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