思い出の着物や帯をジャンパーに 群馬・桐生市に「桐ジャン」製作スタジオがオープン

上毛新聞
2026年6月24日

着なくなった着物や帯を新しい形のジャンパー「桐ジャン」として作り直し、個人の記憶や歴史とともに羽織る―。そんな桐ジャン制作のスタジオ「studio 0035」が5月、群馬県桐生市仲町にオープンした。桐生市の写真家、石内都さんと、桐生市の家合史明さん(35)、孝明さん(34)兄弟が立ち上げた。思い出の着物や帯をアレンジして未来につなげるとともに、交流の場になるようスタジオを運営していく。

プロジェクト名は「Haoru Kiryu」で、 3人が2020年から取り組んでいる。

自宅に眠る思い出の着物や帯から作るオーダーメード。石内さんが着物の柄合わせや色合わせなどデザイン全般を監修し、桐生の職人が横振刺しゅう、縫製、リブ作りといった制作を担う。スタジオに並ぶ完成品を購入することもできる。

「着物は日常生活の中にある庶民の伝統。たんすの中の着物を、とにかく表に出したい」。石内さんは思いを語る。

横須賀市に進駐した米兵の土産として戦後に人気を博した「スカジャン」は、当時桐生市で作られていたとされる。桐生で生まれ、6歳から19歳まで横須賀で暮らした石内さんは、2018年に桐生に転居した。「桐生と横須賀、スカジャンがリンクしていた」。自身と関わりのある地域の思わぬつながりを発見し、次第に桐ジャン作りにつながっていった。

着物は時代の変化とともに日常的に着られることがなくなった。「たんすの肥やしになっていても捨てることはできない。それは祖母や母の記憶をはらんでいるから」と孝明さん。史明さんは「『Haoru Kiryu』は文化を継承する、見直すという視座がある。未来に紡いでいくという意味で父母から子、孫とエージレスで着られる」と話す。

スタジオには今は閉店した桐生市のスナック、安中市の碓氷製糸で作られた絹糸や製糸の様子を捉えた写真など、石内さんの作品3点が壁を覆う。今後、月1回の読書会の開催など気軽に集えるコミュニケーションの場にも活用する。

5月16日にオープンすると多くの人が訪れた。これまで桐ジャンを数着作り、家族に贈ったという鎌倉市の60代女性は「仕上がるとうれしくてびっくりする。絹は上品で着物の質感は特別」と笑顔を見せた。

営業日は毎月1~7日と15~22日。月曜定休。午前11時~午後7時予定。問い合わせは同スタジオ(☎080-1241-3739)へ。