画業80年、自在で大胆に表現 大川美術館(群馬・桐生市)で野見山暁治さんの企画展

上毛新聞
2026年5月24日

画家の野見山暁治さん(1920~2023年)は自由で旺盛な創作を続け、人や自然の本質を独自の形と色彩で自在に大胆に表現した。大川美術館(群馬県桐生市)は企画展「野見山暁治―空にあそぶイメージたち」を開催。従軍経験もあり、昭和の戦中期から80年に及ぶ創作の軌跡を39点の油彩画や版画、素描でたどる。6月21日まで。

東京美術学校(現東京芸術大)在学中の1942年の油彩画「マドの肖像」。今回の展示で制作年の分かる最も初期の作品だ。「マドモワゼル」と呼んでいた 妹を落ち着いた色調で描いた。

福岡県の炭鉱の町で育った。1952年の油彩画「坑内」は黒を基調とし、人物が表されている。

〈その頃の絵はすべて暗いが、あえて暗いところに身を潜めないと、逆に落着かなかったのかもしれない〉

作品の近くには、文筆家でもあった野見山さんが残した言葉が、出典とともに紹介されている。

1952年、パリに渡り、具象から抽象へと表現を展開した。現地滞在中の油彩画「人」は、アトリエの窓辺で眺める景色から人を連想して描いたという野見山さんならではの作品。帰国する前年の1963年にスペインで制作した「サボテン」も並ぶ。

1970年代以降は心象風景を鮮やかな色彩とダイナミックな形象で表現し続けた。1978年の油彩画「海坊主誕生」は、「海面から10センチ入っただけでも地上とは全く世界が違う海の中の事象をモチーフにした」と回想した。

2021年の油彩画「当てにはならない」は最晩年の作品ながら色がみずみずしくエネルギーにあふれている。学芸員の小此木美代子さんは「タイトルとは裏腹に揺るぎない手応えが感じられる」と話す。

企画展開催のきっかけとなった野見山暁治財団から2024年度に寄贈された素描25点や、パリでの展覧会に出品するため制作した版画8点なども紹介する。

午前10時~午後5時。月曜休館。一般1200円など。問い合わせは大川美術館(☎0277-46-3300)へ。