台風で被災、荒船風穴(群馬・下仁田町)の補修完了 1日から見学再開

上毛新聞
2026年4月4日

世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する荒船風穴(群馬県下仁田町南野牧)で、2019年の台風19号による大雨で傾いた土留めを約70メートルにわたって補修する土木工事が完了した。地形に由来する天然の冷風を、石積みと建屋で閉じ込めて蚕の卵を貯蔵し、年複数回の養蚕を可能にした独自性と文化的価値を守るため、風穴の建設前後に周辺に配置された石もそのままに、できるだけ元の地形と同じ形状に仕上げた。冬季閉鎖を終える4月1日から見学者の受け入れを再開する。

ハニカム構造の樹脂の枠に砕石を詰め、曲げたり段状に重ねたりして地形の輪郭を造った。水はけも向上。後に草が生えて自然な見た目になるという。

工事に合わせて見学路のゴムマットや木柵を新調し、歩きやすくした。周辺のスギを間伐し、冷風を生み出す地形と密接な関係にある沢が見やすくなった。

工事の過程で発見もあった。3号風穴の足元の地中に大ぶりの「根固め石」が並び、さらに斜面の下方に土留めとなる石のまとまりが5カ所あることを確認した。土留めの石は、3号の石と同じ削岩機の跡があり、3号の建設前後に石積みを安定させる目的で設置されたとみられる。

町歴史館の秋池武館長(81)は「見た人を驚かせる環境が今も残っている。それが分かる景観を提供したい」と話した。