《釣り》ヒラマサ 強烈な引き 茨城・日立沖シーズン入り 「もがき」特徴、感激の1本

夏が旬の魚は意外と少ない。夏に旬を迎えるとされる魚でも、実際は冬に釣れたものの方が脂が乗っておいしいというのがほとんど。しかし、私が紛れもなく夏がうまいと思うのはアユとヒラマサだ。8月下旬、日立久慈漁港の釣友丸(若林一船長)に乗り込み、ヒラマサを狙った。
午前4時半、釣友丸でのヒラマサ狙いは久々だ。若林船長は周辺のヒラマサポイントを熟知しているエキスパート。まだ薄暗い中、船は港を出て北のポイントを目指す。
船の周辺が明るくなると、トビウオが海面を飛んでいる。約20分で会瀬の海岸が見える水深25メートルのポイントに到着。海中は起伏の激しい岩礁で、こういった磯場がヒラマサのポイントだ。
船首から風下へトビウオに見立てた19センチのルアーを投げる。強い力で潜らせ海面スレスレをギラギラと泳がせる。今日は一発がありそうだ。トップウオーターで約1時間半にわたり粘ったが、ヒラマサは見られなかった。
そこで風上の海中へジグを放り込む。ずっとジグで狙っていた他の客も釣れていないので、あまり期待していなかったのだが…。何と1投目でヒット!
あまりに急な展開に動揺し、さおごと海へ落ちそうになった。何とかロッドエンドを下腹に当ててファイティング態勢に入った、と思ったその時、強烈な引き込みにもん絶! 圧倒的な力とスピードに耐え切れず逃げられてしまった。
それからしばらくヒットはなくなり、他の客は別の釣りを始めてしまう。しかし私はあくまで本命狙い。
ヒラマサは逃げ惑う小魚を執拗(しつよう)に追い回す習性があり「逃げないルアーは食わない」とされる。このため、専用のジグに強烈な水圧を加えて激しいスライド感を与え、逃げる小魚を演出するアクションを絶え間なく入れていった。
非常に体力を消耗する動きを繰り返して午前11時を過ぎたころ、ついに念願のヒット! しかし、私の体力の方が限界で「来た」という喜びより「来ちゃったか」という気持ちだった。
激しく暴れ続けるヒラマサ。ファイト中にバタバタと「もがき」が入るのも特徴で、この時だけは楽にラインを巻き取れる。
操舵(そうだ)室から素早く現れた若林船長が網を構えた。浮いて来るまで出てこないブリと違い、ヒラマサだとヒット後すぐにサポートに出てくる。さおの曲がり具合で掛かっている獲物が船長には分かるのだ。型は小さめだが何とか海面まで上げると船長の網に収まった。

ヒラマサは刺し身にしておいしくいただいた
大きさは2~3キロ。やや小ぶりだが、諦めかけていたので感激の1本。これから11月まではヒラマサのシーズンだ。海上から日立の街並みを眺めながら楽しめる。出でよ、挑戦者!(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)