日本伝統の美に焦点 笠間日動美術館で展覧会 茨城

日本史上の人物を題材にした油彩画や四季折々の風景画などを通して、日本の伝統や美しさに目を向ける展覧会「日本の美 再発見。」が9日まで、茨城県笠間市笠間の笠間日動美術館で開かれている。歴史画、書と墨彩画、日本の四季の3章で構成され、同館所蔵品を中心とする43点が並ぶ。
第1章では、明治維新の後、西洋化とともに日本独自の文化への関心が高まる中で描かれた歴史画などを紹介し、紫式部や太平記といった日本の伝統的な題材を洋画に取り入れた作品が並ぶ。紫式部が源氏物語の構想を広げる場面は浮世絵などで多く描かれてきたが、和田英作の油彩画「近江石山寺紫式部」は月光の下物思いに沈む紫式部が西洋画の写実的な技法で描かれており、新鮮な印象を与える。
第3章では、人々の生活や四季折々の何げない景色に美を見いだし、それぞれの技法で表現した画家たちの思いを垣間見ることができる。藤島武二の「日の出」は、朝日に照らされる大洗海岸を描いた。岩にぶつかり砕ける波と、静かで穏やかな水平線の対比が見どころとなっている。
同館の湊真由美学芸員は「忙しい日常の中でつい見逃してしまう風景が描かれている。身の回りに目を向けるきっかけにしてほしい」と来場を呼びかけている。午前9時半~午後5時(入館受け付けは同4時半まで)。
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