伊東甲子太郎の生涯追う 新選組入隊160周年 絵図や手紙、50点展示 10月27日まで 茨城・かすみがうら

茨城新聞
2024年9月1日

現在の茨城県かすみがうら市出身で、幕末に新選組で活躍した伊東甲子太郎(かしたろう)(1835~67年)を紹介する企画展「伊東甲子太郎と油小路の変」が、同市坂の市歴史博物館で開かれている。展覧会は新選組入隊から160年の節目を記念して企画された。甲子太郎の肖像画や家族に宛てた手紙など資料約50点を展示する。同展は10月27日まで。

甲子太郎は志筑領の家臣の家に生まれ、水戸藩で剣術や水戸学を学んだ。江戸に出て伊東道場で北辰一刀流に磨きをかけ、優れた技術と人格を評されて塾頭に推挙された。

京都での活動を夢見て1864(元治元)年、新選組に合流した。しかし、幕府に忠誠を尽くす局長の近藤勇と意見が合わず、別働隊の「御陵衛士(ごりょうえじ)」を命じられた。近藤との溝は深まり、67(慶応3)年11月18日夜に京都で暗殺される。「油小路の変」と呼ばれる新選組最後の内部抗争だった。

展示では、甲子太郎の生涯や支えた家族を資料で紹介。甲子太郎の生家が分かる幕末期の絵図は縦33センチ、横56センチの和紙に墨で描かれている。絵図は志筑領の家臣だった市ノ沢家から2020年に寄贈された文書の中から見つかった。当時の領内の様子が分かる貴重な資料という。

新選組に一緒に入隊した2歳下の弟、三木三郎の肖像画や母親に宛てた手紙、公家の大原重徳から送られた和歌などを写真や資料とともに展示した。また、油小路の変を題材に描いた漫画「ABURA」(原作・NUMBER8、作画・貘九三口造(ばくさくぞう))の原画複製もパネル展示した。

同館の千葉隆司館長は「甲子太郎は学問や剣術に加え、カリスマ性があった。死後もさまざまな人が奮闘し、生きざまを後世に伝えようと協力した。これまでの歩みを考える機会になれば」と話した。

月曜休館(祝日の場合は翌日)。9月29日に千葉館長の講演会がある。