茨城・土浦の歴史、資料で概観 古代人頭髪、藩主武具 博物館と資料館合同展示

茨城新聞
2024年4月11日

茨城県土浦市に人類が住み始めた旧石器時代から現代まで約3万6000年の歴史を、200点近くの資料で振り返る特別展「土浦〝モノ〟語り」が、市立博物館(同市中央1丁目)と考古資料館「上高津貝塚ふるさと歴史の広場」(同市上高津)の両館で開かれている。武者塚古墳(同市上坂田)から出土した国重要文化財の古代人の髪形「みずら」や、土浦藩を治めた土屋家ゆかりの武具など、貴重な資料が並ぶ。5月12日まで。

両館がこれまで収集した資料や調査研究の成果を生かし、旧石器時代から古墳時代(1~2章、歴史の広場)、奈良から昭和時代(3~6章、博物館)に分けて紹介する。両館の合同展は1995年以来29年ぶり。土浦の歴史を概観する初めての企画展だ。

歴史の広場で展示する「みずら」は、当時の男性の髪形を裏付ける資料として価値が高い。武者塚古墳は7世紀中ごろの古墳で、1983年に筑波大が発掘調査した際、被葬者のひげとともに全国で初めて発見された。

土浦藩・土屋家ゆかりの武具などを展示する土浦市立博物館=同市中央

常時展示されず、貴重な見学の機会となる。併せて発見された重文の「銀帯状金具」や太刀といった金属製品も並ぶ。

博物館では「黒漆塗両引合二枚胴童具足」など、土浦藩土屋家の鎧(よろい)3組を展示する。同具足は、江戸時代に18歳で早世したとされる8代当主寛直のため、元服時にあつらえたとみられる。兜(かぶと)の前立ては「のしあわび」形で、金箔(きんぱく)を張って漆を塗る「白檀(びゃくだん)塗」を各所に施すなど、祝賀を意識した豪華な造りとなっている。2021年に市が購入し、今回が初公開となる。

近現代では、戦前の短期間に常磐線土浦駅から阿見の海軍航空隊を結んでいた路面電車「常南電車」の存在が分かる案内図、土浦全国花火競技大会が中止になった際のポスターなども展示。街の成り立ちが年代を追って把握できるようになっている。

会期中の4月14日、5月5日には、両館で学芸員らによる展示解説会がある。

初めてとなる通史展示について、同博物館の西口正隆学芸員は「貴重な歴史資料にフォーカスした。両館を行き来して土浦の歴史を知ってもらえれば」と話した。