時を刻み続け120年 全国的にも珍しい柱時計の大型サロンクロック 常陸太田・大和田時計本店

茨城新聞
2020年8月29日

常陸太田市東二町の「大和田時計本店」(大和田幸雄代表)に常設されている全国的にも珍しい柱時計の大型サロンクロックは、同店創業の1900年から120年間、カチカチという振り子の音色とともに、時を刻み続けている。本体は丈夫な南洋材を使い、色合いと見事な彫刻が重厚感を漂わせる。ひと目見ようと県外からも店を訪れるという。

大和田代表の祖父が店頭の飾りとして店のオープンに合わせて購入した。スイス製で高さ235センチ、幅77センチ。一つ約10キロの分銅が二つあり、時の針を動かし、時を告げる鐘を鳴らす。本体の彫刻は日本で制作されたもので、上部に鳳凰(ほうおう)、振り子部分にブドウ、下部にボタンの花が施されている。ガラスも明治時代のものという。

同店創業の1900年には、パリ五輪の開催や、伊藤博文が第10代内閣総理大臣に就任した第4次伊藤内閣発足などがあった。同時計は4日に1度の分銅を巻き上げる作業を行うことで、明治、大正、昭和、平成、令和の長い時代を動き続けている。メンテナンスは10年に1回ほど、大和田さん自身が分解掃除を行う程度という。

祖父に購入価格を尋ねた際には、「勉強部屋1軒分くらいの金額かなと返事が返ってきた」と笑顔を見せ、「自分が子どもの頃は時計に登って遊んでいた」と懐かしそうに話す。「この時計は生まれた時からあったもので特別に意識したりはしないが、祖父の思いや歴史は感じている」と目を細める。

営業時間は午前9時~午後6時(夏期は午後6時半)。(電)0294(72)0022

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