温泉街にアートな牛 岡田さん制作 芸大交流シンボルに みなかみ・湯宿

上毛新聞
2019年1月19日

みなかみ町の湯宿温泉で芸術による交流の輪が広がっている。東京芸術大の学生が温泉街の商店や旅館、民家に自身の作品を展示するイベントが毎年開催されているほか、昨年12月には同大卒業生が手掛けたオブジェが完成し、地域の新たなシンボルとしてお披露目された。作品展示を目当てに訪れる人も増えているといい、町はアートを通じた交流や観光誘客に期待を寄せている。

牛の形をしたオブジェは高さ130センチほど。もともと町内の道の駅水紀行館に飾られていたものを引き取り、同大卒業生の芸術家、岡田杏里さん(29)=埼玉県=がリメークした。町に滞在する中で温泉で癒やされたり地元住民から話を聞いたりしてイメージを膨らませ、最も印象的だったという水をモチーフに、体に絵を描き、湯宿温泉を表現。温泉街のシンボルになるよう、新たな魂を吹き込んだ。
オブジェは12月18日に披露されると早速、地元住民らから「牛さん」の愛称で呼ばれるように。現在は金田屋旅館の大広間を改装したアトリエ兼ギャラリーに展示されており、今後、イベントや他の施設でも展示し、温泉のシンボルとして浸透させていく。岡田さんは「温泉に入ると制作の疲れも取れて元気になった。湯宿の人が作品を通してつながってほしい」と思いを話す。
同温泉と同大は、卒業生の作品寄贈などを通して交流してきた。2016年からは毎年、同大の教員や学生の作品を温泉街の商店や旅館に展示するイベント「アートイン湯宿」を開いている。今季も15人が現地に滞在して制作した多彩な作品が並び、温泉街ににぎわいを生んでいる。展示は3月末まで。
町は「展示を見に訪れる人もいる。地元住民と東京の若者との交流の機会にもなっている」と歓迎し、取り組みの定着と交流の深まりに期待している。