抵抗示す霧の「彫刻」 水戸芸術館27日から 中谷さん大規模個展

茨城新聞
2018年10月27日

霧のアーティストとして世界に知られる中谷芙二子(なかやふじこ)さん(85)の大規模個展「霧の抵抗」が27日、水戸市五軒町の水戸芸術館で開幕する。急速な技術の発達がつくる社会に対し批評を続けてきた中谷さんの抵抗の姿勢や活動の全容をたどる。26日の内覧会で中谷さんは「霧は地球のリズムと呼応し、常に形を変え再生しながら生き続けていく。見る人に変わる勇気を与えてくれる彫刻」と霧の造形の魅力を話した。

中谷さんは1933年、札幌市生まれ。芸術と科学、自然とメディアの関わりを模索しながら、人工霧を使った作品を世界各地で制作。自然環境に合わせた彫刻など80点を超える。今年、高松宮殿下記念世界文化賞彫刻部門を受賞した。

今展では、「霧の彫刻」の新作や、これまでの作品や活動を振り返る映像や資料を展示。新作は同館の特徴を生かした2点で、屋外の広場では、盟友の磯崎新さんが設計した噴水を「抵抗のシンボル」として舞台にしたパフォーマンス、展示室内では霧の中で鳥が飛翔する映像を投影したインスタレーションを、全身で霧を体感して鑑賞する。

また、50年にわたって手掛けてきた霧作品の展開を映像や資料で紹介。1970年の大阪万博ペプシ館で初めて「霧の彫刻」を制作した当時の資料も展示し自然界と同じ霧を作るまでの研究の過程をたどる。

1月20日まで。問い合わせは同館(電)029(227)8111。 

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