試合日以外もカシマが熱い 施設充実で地域貢献

茨城新聞
2017年10月17日

サッカーの鹿島アントラーズFC(鹿嶋市粟生)がスポンサーシップ、チケット販売、グッズ販売に続き第4の事業と位置付けるスタジアム事業が成長を続けている。県立カシマサッカースタジアム(同市神向寺)の指定管理者として、試合日以外の「ノンマッチデー」の利活用を進め、地域住民が気軽に足を運べる健康づくりの環境を提供。趣向を凝らした新規のイベントも打ち出す。スタジアムの箕輪公成所長は「どんどんリノベーションして地域に貢献できる施設に充実させたい」と強調する。 

週末の夜、スタジアム内のスポーツクラブ「カシマウェルネスプラザ」。思い思いに汗をかこうと、マシンルームやフィットネスのスタジオに次々に人が集まってくる。異彩を放つのが2月に導入した高さ3・6メートルの人工壁を登るボルダリング。2020年東京五輪ではスポーツクライミングとして実施される。鹿嶋市佐田、自営業男性(34)は「前からやりたいと思っていたがこの辺りになかった。夜遅くまでできるのが魅力」と話した。

スタジアム3階のウオーキングコース(1周630メートル)は鹿島灘が一望できる。無料で利用でき、その登録会員は約2万人に上る。箕輪所長は「夜間照明もあるので安心して歩ける」と話す。同市平井の70代の夫婦は「雨の日も歩ける。すごく快適」と満足している様子。

同プラザは06年に外部の協力を得てスタートし、11年から鹿島が自主運営。介護予防の個別プログラムや美容関連のスキンケア事業なども展開する。平日は午後10時まで営業している。
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県関連の指定管理者施設は、つくば国際会議場(つくば市)や県民文化センター(水戸市)など計62カ所。鹿島FCは06年、Jリーグのクラブで初めて地方自治体所有の競技場の指定管理者となった。11年から10年間の長期契約を結んだ。

09年からは、コンコースで夏限定ビアガーデンを開催。15年8月にはスタジアム敷地内に整形外科「アントラーズスポーツクリニック」が開院。リハビリ面などでクリニックと同プラザの連携体制も整えた。

スタジアムの活用は、試合でのグラウンド利用や同プラザ、イベントなどを含め、14年度は年間利用日数が延べ471日で約44万人、15年度は同979日で約53万人。16年度は同1333日で約62万人に伸びた。

チームの活躍や新事業が利用者を呼び込み、県事業推進課は「民間の創意工夫を生かしたスタジアムの利活用、取り組みが進んでいる。指定管理者の利点を発揮している」と評価する。
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ほかにも、スタジアムでは、お化け屋敷を運営する企業などと協力して11月末までホラーの体験型イベントを開催中。今月22日には、宝探しイベント「カシマトレジャーカップ」も開き、優勝者はスタジアムの1日貸し切り権が与えられる。

鹿島のホームタウン5市の人口は28万人弱。箕輪所長は「他(都市部)と同じことをやっても人は来てくれない」とし、「試合以外でスタジアムを活用し、収益性を実証していくことが大事。常に新しいものを出したい」と意気込んだ。

★カシマウェルネスプラザ
カシマスタジアム内にあるスポーツ施設。2016年度は約7万4千人が利用。ヨガなどのスタジオプログラムやダイエットや介護予防の個別プログラム、ボルダリング施設、3階のウオーキングコースのほか、美容関連の「アントラーズスキンケア」が営業している。

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