建物や収蔵にこだわり 太田市美術館・図書館(群馬)、開館9年目で初のコレクション展 三つの時間に焦点当てる

上毛新聞
2026年4月6日

群馬県太田市美術館・図書館(太田市東本町)が、開館9年目にして初となるコレクション展「コレクションをめぐる3つの時間」を開いている。作家が創作する時間、太田市美術館・図書館が歩んだ時間、来館者が作品を鑑賞する時間―の三つの時間に注目し、「創造的太田人」の基本理念に基づいて造られた建物や収集作品に込めた思いをひもとく。5月10日まで。

太田市美術館・図書館は2017年4月に開館した太田市初の美術館。東武太田駅前のにぎわいを 取り戻すという命題もあり、市民の意見を取り入れながら美術館と図書館を融合した文化施設として整備された。

独特な建築も特徴の一つだ。各階に一つずつある計三つの展示室をスロープや本棚がらせん状に取り囲む。各部屋を案内するサインや置かれた椅子も個性的。それぞれの空間に合わせたデザインの物を取り入れ、来館者が思い思いの時間を過ごせるように仕組まれている。一方、常設展示室はなく、収蔵品も28件と少ない。

「ここには収蔵品がないと思っている市民もいた。10周年を前にした今だからこそ館のことを丸ごと知ってほしかった」。展示を担当した学芸員の山田晃子さんは企画の趣旨を説明する。館の性格を表現するため作品収集などの事業(ソフト)と建築(ハード)の切り口で構成する展示に仕上げた。

展示室1と2では収蔵品や関連作品など計42件を飾る。解説文をあえて作品から離れた場所に設置し、鑑賞者が作品そのものをじっくり見ることができるよう工夫した。邑楽町出身の画家、中村節也(1905~91年)の油絵「伽藍鳥(ぺりかん)」は2023年に発見され、大規模修復を経て初めて披露。修復作業をまとめた動画も公開する。

展示室をつなぐスロープの壁面には館の理念や収蔵方針を図式化して紹介。設計者の平田晃久さんらのインタビュー動画は本展に合わせて撮影した。平田さんは「それぞれ自分の好きな場所で好きに過ごせることが最初に求められたことだった。それで違う世界がいろんな場所に散らばっているような建築にしたいと思った」と建物や内装に込めた意図を伝えている。

午前10時~午後6時(入場は午後5時半)。月曜休館(5月4日は開館)。初のコレクション展を記念して観覧料は無料。問い合わせは太田市美術館・図書館(☎0276-55-3036)へ。