《食いこ》榎家(行方市) せんべい、素朴な手焼き

茨城新聞
2019年4月14日

行方市の「榎家」は手焼きせんべいの店。少しでこぼこした香ばしいしょうゆ味のせんべいは手焼きならではの味わいがある。特産のシソをのせたせんべいは「香りがよい」と好評だ。

店の前は北浦が見渡せるのんびりした風景が広がり、のぼりと看板がなければ通り過ぎてしまいそう。せんべい作り37年の店主の羽生成一郎さん(68)が丁寧に手焼きする。特注した県産米の生地を並べ、焼き加減を見ながら箸を動かし一枚一枚返していく。だんだん生地が膨らんできた。「草加せんべいは膨らみを押して平らにするが、でこぼこしているのも手焼きのよさ」と軽く押さえる程度にとどめる。1時間で約120枚焼き上げるという。

強火で小まめに生地を返すのが羽生さん流。「素朴ながら飽きのこない味」を目指す。「焼き加減は季節や天候で違う。生地の乾燥具合も夏と冬で違う。梅雨が一番やっかい。品質を一定に保つようにしており、火力が安定するガスで焼く」。焼き上がると、自家製しょうゆだれに漬ける。

せんべいは「あつ焼き」「うす焼き」「しそ」「ごま」「ざらめ」「唐辛子」など8種類。「米の味が引き立つように」と種類によって、しょうゆだれの配合や生地の大きさを変えているという。

同市特産の大葉を1枚貼り付けたしそは「ここでしか売っていない」と言う自信作。葉の緑を保つ工夫やしょうゆだれとのバランスなどに「苦労を重ねた」。個包装の袋を開けると爽やかなシソの香り。シソの風味と手焼きしたしょうゆせんべいの香ばしさが味わえる。「シソは近くの栽培農家から仕入れる。特産のセリやパクチーも試みたがうまくいかなかった」

羽生さんがせんべい作りを始めたのは31歳のとき。金属塗装業から転職した。千葉県の親類が営む米菓店でせんべい作りの技術を学び、32歳で開業した。行方市と千葉県佐原市の2店舗を営んでいたが、6年前、行方市の1店舗に絞った。「好きな仕事を長く続けていきたい」。これからも自分のペースでせんべいを焼き続ける。

■お出かけ情報
榎家
▼行方市山田2034
▼営業時間は午前8時~午後6時
▼(電)0291(35)2692

【図表】
榎家の地図

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