《飛躍の年に 上州酉三景・上》鶏肉料理 食べたらとりこに

上毛新聞
2017年1月5日

ふたを開けると、茶色く照った鶏肉と香ばしいにおいが食欲をそそる。上毛三山を描いた弁当箱の包装紙は県民なら一度は見たことがあるだろう。登利平(前橋市公田町)の「上州御用 鳥めし竹弁当」(710円)は、1日平均約1万食を売り上げる看板商品だ。

▽ソウルフード
「鶏肉がなぜ重なって盛り付けられているかご存じですか? 鳥が羽を広げた姿をイメージしているんです」。総務課長の中村哲也さん(43)が教えてくれた。県民の胃袋をつかんで離さない味付けは、一部の社員だけに伝わる「門外不出の秘伝のたれ」を使っている。
鳥めしは1972年に発売され、今や「群馬のソウルフード」の異名を持つまでに成長した。地産地消をはじめ同社の“地元愛”は強いが、販売面でもこだわりがある。
展開する31店のうち、28店は県内に置く。全国に販路を広げることも可能だが、あえて地元を重視した販売戦略を貫く。「群馬で食べてこそ良さを感じてもらえる。ぜひ群馬に足を運んでほしい」との思いからだ。
7月に創業45年となる同社。中村さんは「酉(とり)年を飛躍の年にしたい。県民に愛される商品を作り続ける」と力を込める。

▽人気の蒸し焼き
県道沼田水上線沿いに「高橋の若どり」(みなかみ町下牧)がある。販売する「蒸し焼き」(300円~)は知る人ぞ知る人気商品。小さな店舗は、口コミで知った客で連日にぎわっている。
生後35日以内の国産の若鶏を、しょうゆ味をベースにしたたれを付け、特注の機械で調理する。じっくり火を通すことで無駄な脂分を落とし、軟らかく、ヘルシーに仕上げる。
店長の高橋志津穂さん(50)は6年前、義父から店を継いだ。当初は常連客から「味が変わった」と指摘を受け、悩んだこともある。「伝統の味を守りたい」と努力を重ね、今では2代目として老若男女の舌をうならせている。
「これがみなかみの名物、と言われるような商品を売る店にしたい。これからも鶏を大切に調理する」と話す高橋さん。店は2月、創業40年になる。

◇  ◇  ◇
今年は酉年。県内には半世紀近くにわたって鶏を使った弁当を提供する企業や、新たな地鶏の可能性にかける生産者がいる。山奥に目を向ければ県の鳥「ヤマドリ」がひっそりと暮らす。県民と“とり”の関わりを紹介する。

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