群馬・前橋市出身の日本画家・故塩原友子さん、故郷で個展 伝統超え「挑戦」前衛的な線表現

群馬県前橋市出身の日本画家、塩原友子さん(1921~2018年)は「日本画の生命は線」と語り、伝統的な日本画の技法を超えたコラージュや画面を引っかく描写に挑んだ。戦中から戦後の激変期に教員から画家としての道を選び、独自の画風に至る96年の人生を100点の作品や資料で伝える大規模個展が同市のアーツ前橋で開かれている。6月14日まで。
縦1.8メートル、横5.5メートルの画面は、版画で白黒模様になった紙や赤、黒、白の紙で埋め尽くされている。40歳で日本画院展に出品した「鯤(こん)」は平面的な日本画から転換した塩原さんの代表作となった。版画技法で描かれる線、紙を貼り合わせて浮かぶ線。無数の線が画面上でひしめき、作品に奥行きを生む。日本の伝統的な基本色としての赤、黒、白を重視したこともうかがえる。
県女子師範学校を卒業して1939年に教職に就いたが、終戦によって「自分は一体どんな人間なのか」という葛藤が起こり約10年で退職。29歳で現在の武蔵野美術大に編入し、画家として歩み始める。
画家、井上三綱(さんこう)(1899~1981年)との出会いで画風は大きく変化する。油彩にベンガラや岩絵の具などを混ぜたり、絵の表面をそいで線を描いたりする技法に感化された。画材や平面であることにとらわれない前衛的な造形表現を展開し、時にはベニヤ板を組み合わせて線を描くこともあった。
展示は「塩原友子の原風景」として故郷を題材にした作品を並べる序章に始まり、晩年に帰郷して行き着いたモチーフ「上毛野(かみつけの)」を切り口にした計8章で構成。社会や人生の様子をたどりながら作風の変遷を映す。学芸員の辻瑞生さんは「自由に新たなことに挑戦する塩原さんの生き方は面白い。力強い大作をぜひ見に来てほしい」と話す。
午前10時~午後6時(入場は同5時半)。水曜休館。観覧料600円。問い合わせは同館(☎027-230-1144)へ。(大森未穂菜)
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