水戸に新美術館 交流期待 「クヴェレ」14日開館 大観や波山、東洋古陶磁 茨城

茨城県水戸市泉町の旧銀行建屋を活用した文化施設「テツ・アートプラザ(TAP)」の中核として、新たな美術館が14日にオープン。館名は「クヴェレ美術館」。いずれも茨城県出身の巨匠、日本画の横山大観と陶芸の板谷波山を筆頭とする日本近現代の絵画や工芸品、シルクロードにちなむ東洋古陶磁など多彩な名品を収蔵する。歴史ある街中に誕生する美の空間は、市民が気軽にアートに触れる場となり、さらなる交流の期待が寄せられている。
TAPを管理、運営する哲文化創造公益財団法人は、アパレル大手アンドエスティHD(旧アダストリア)会長の福田三千男氏が理事長を務め、「芸術文化の振興」と「地域活性化」に寄与することを目指している。館名の「クヴェレ」はドイツ語で「泉」を意味し、施設が立地する泉町に基づく。「湧き出す泉に人々が集い、交流が生まれる場となるように」との願いが込められた。

クヴェレ美術館の外観
収蔵作品は、福田氏が収集した日本近現代の絵画や工芸品約270点、石油販売会社「吉田石油」(本社・水戸市)前顧問の故・吉田光男氏から寄贈された古陶磁や仏教美術約250点、有田焼の大皿コレクターとして知られた故・瀬川竹生氏(神奈川県横浜市)寄贈の伊万里染付大皿113点など、合わせて約630点に上る。
福田氏所有の作品は、茨城県ゆかりの作家の作品が主体。明治時代末に茨城県・五浦で日本画の研さんを積んだ大観、菱田春草、下村観山、木村武山の作品のほか、同県筑西市出身の波山の名品が集う。大観の「白牡丹」や波山の「葆光彩磁延壽紋様香爐」が見どころとなる。洋画では水戸市出身の中村彝の作品など。ほかに水戸藩支藩に連なる家系の清宮質文の版画がある。
吉田氏の寄贈作品は、地中海から朝鮮半島に至るシルクロードの東洋美術が柱となる。紀元前2200年から紀元後の10世紀ごろまでに作られた工芸品がそろい、6世紀ごろのササン朝ペルシア時代の「白瑠璃碗」などが存在感を示している。このほか2世紀ごろにインドで作られた仏教美術、中国関係では漢や唐時代の古陶磁。日本のものでは弥生時代から鎌倉、室町時代にかけての甕(かめ)や壺(つぼ)の名品が含まれている。
同館は1階と2階合わせて約400平方メートルの展示室を設けている。吉田コレクションを展示する1階は、左官仕上げの壁と木材、光天井や障子窓が組み合わされ作品を身近に鑑賞できる。福田氏の作品を並べる2階は、収納式の展示パネルや奥行きを可変できる壁面ケースを備えるなど本格的な展示空間となる。
志賀秀孝館長(66)は、日本近現代の作品とシルクロードゆかりの工芸品を扱うことに、「違った傾向ではあるが、共に時間の流れを感じるきっかけになるのでは。前者はアートを通じて身近な歴史をたどることができ、後者は今の日常が長大な時間の中にあることを気付かせてくれる。現代人との美意識の共通性などを見いだしてほしい」と説く。
TAP内に昨秋開業した交流ホールやカフェが、街中の憩いの場になっていることに触れ、「のんきな美術鑑賞ができるのが当館の良さ。カフェで十分くつろいだ後にアートを楽しみ、その逆もできる。親しい人と目で舌で楽しい記憶を刻んでほしい。水戸の街中に誕生する美術館を共に育てていければ」と思いを語った。
■7月5日まで開館記念展
クヴェレ美術館は開館記念展と銘打ち、所蔵品からよりすぐりの名品を3回にわたって紹介する。第1弾として、「Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁」展を14日から7月5日まで開催。茨城県ゆかりの近代日本画とシルクロードの工芸作品といった古今東西の美がそろい、新美術館の門出を彩る。
入館料は一般・大学生700円、高校生以下無料。月曜および第2火曜休館。23日、5月4日は開館。同館(電)029(224)7123。
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