鉱業停止求めた困窮婦人に焦点 地図、イラスト、新聞記事… 田中正造記念館で企画展 群馬・館林市

上毛新聞
2025年11月1日

足尾銅山の鉱毒の影響で食糧が不足し、困窮した群馬県などの婦人が東京の政府高官らに鉱業停止を求めた請願運動「女押し出し」に焦点を当てた企画展が、群馬県館林市大手町の足尾鉱毒事件田中正造記念館で開かれている。女性だけで立ち上がらなければならなかった被害地の背景や当時の貴族院議長、衆議院議長らに直接面会して交渉した経緯、首相官邸を訪れたルートなどを地図、イラスト、年表を使って分かりやすく解説している。12月21日まで。 

銅の採掘量増加に伴い、鉱毒の影響が拡大したことで、田畑の収穫量と淡水魚の漁獲量が減少。本県を含む渡良瀬川下流域の経済活動が低迷し、困窮した地元の男性農民が鉱業停止や補償を政府に求める請願運動「東京押し出し」を複数回決行していた。

具体的な対策が示されない中、1900年2月に第4回押し出しに向かう群集と警官隊が現在の明和町で衝突した「川俣事件」が発生。多数が負傷し、住民運動の中心人物は大勢逮捕され、うち51人が起訴された。この結果、地域から多くの男性が一時的に不在となったため、生活に苦しむ女性が02年2~4月に何度も東京に向かい「女押し出し」を実施した。

女押し出しには本県と埼玉県、栃木県の20~70代が参加。注目を浴びて解散させられないように70人が少人数に分かれ、30回以上活動したとされる。

企画展では女押し出しが決行されるまでの経緯や各地から有志が集まり東京に向かった道のり、活動状況、支援の輪の広がりを伝える新聞記事などを紹介している。

午前10時~午後4時。入場無料。月、水、金曜は休館。問い合わせは同館(☎0276-75-8000)へ。