銃後の暮らし、戦争伝える 紙芝居、写真など資料100点 水戸市立博物館

茨城新聞
2023年7月6日

銃後の女性や子どもたちの暮らしを顧みて、平和の尊さを改めて考えようと、水戸市立博物館(同市大町)の常設展示「『何を願い、どう戦った!!』-戦時下の暮らし─」が開かれている。空襲に備えバケツリレーを練習する女性たちの模型や、竹製のランドセルなどを展示。坂本京子学芸員は「政府の圧力下で一生懸命生きた『普通の人々』の暮らしを通して、戦争の悲しさや恐ろしさに触れてほしい」と来場を呼びかけている。会期は2024年5月末まで。

同展は本年度の民俗部門の常設展示として実施。「戦時下の暮らし」をテーマに、旧谷中一丁目(現末広町)で雑貨屋を営んでいた「舛田(ますだ)や」から寄贈された戦時中の紙芝居や写真などを中心に、約100点の戦争資料を展示。家族を戦地へ送り出した女性たちがどう生活を守ったか、幼い子どもたちを国がいかに戦争へ誘導していったかを読み解く内容となっている。

戦車、飛行機や落下傘などの柄が描かれた子ども用の着物と帯=水戸市大町の同市立博物館

 

空襲に備えて、各家庭に「電灯を覆うこと」や、「親子用の防毒着を作ること」などを推奨する張り紙、戦車や落下傘が描かれた子ども用の着物や茶わんといった資料が展示されている。

戦時中の物資不足により竹で作られたランドセル=水戸市大町の同市立博物館

 

太平洋戦争中に子どもたちの戦意発揚を目的として制作された「国策紙芝居」の朗読動画も上映。戦況を伝える伝書バトが敵の砲弾に傷つきながらも任務を果たす「小さい伝令使」などの4作品からは、子どもたちに戦争の正当性を教え込む当時の国の姿勢がうかがえる。

坂本学芸員は「建前と本音の間で苦しみながらも生き抜いた、『送り出す側』から見た戦争を伝える展示とした。昨今の国際情勢に通ずる点も多く、危機感や問題意識を持つ糸口になれば」と言葉に力を込めた。

入場無料。午前9時半~午後4時45分まで、同館2階展示室。月曜、祝祭日と年末年始休館。